SSおきば
※:性的描写あり25.05.02
相方くん×おにいさん
君がいればそれでいいよ、と言う話
https://odaibako.net/gacha/242
世間ではゴールデンウィークと呼ばれる大型連休にたまには旅行でも行こうか、と話したのは約一週間前。薄々予感はしていたのでそこまでショックはなかったと言えど、まさかほぼほぼ友人であるヒカルの居酒屋の手伝いをすることになるとは思っていなかったため思わず肩を落としてしまった。繁忙期であることは知っていたので手伝いたい気持ちは元々あったが、恋人であるヒナタと普段とは違った過ごし方をしたいと思っていた矢先の話だったため、渋々予約していたホテルをキャンセルした次第である。
「まあ、仕方ないよな。会えなくなるわけじゃないし……てか、俺も普段お世話になってるし、人手足りなかったら全然手伝うよ」
どうやら自分でも気付かないくらいあからさまに顔に出ていたようで、変に気を遣わせてしまったことにも酷く落ち込んだ。
平日の今日までは呼び出しはなく、明日から始まる週末の連休はずっと出ずっぱりの予定になっている。昼間くらいなら二人で飯を食べたり買い物へ行ったりは出来るけれど、可能であれば少し遠出をして知らない街を静かに歩いてみたかった。せっかく珍しくガイドブックを購入して、行きたい場所や見たい景色が載ったページに付箋を貼ったのに、お楽しみはまた次回だなんてあまりにも悲しい。
「……今からでも遅くない。二日間くらいは空けさせてもらうか」
「こらこら。気持ちは分かるけど、もう宿も取ってないし大人しく諦めろよな」
「…………」
「そんな不満げな顔したってダメなもんはダメ」
困ったように苦笑するヒナタもどこか残念そうな表情だったが、諦めの悪い自身よりは遥かに吹っ切れている様子だった。それが何故か悔しくてつい、減らず口のように返した言葉にまた彼は小さく笑って、優しく首を振りながらそっと答えたのだった。
「そういう訳じゃなくて、その。俺は、オマエがいればそれだけでも幸せだからさ」
勿論、旅行とかその他にも二人で一緒にしたいことたくさんあるけど。照れ臭そうにそう続けるヒナタの腕を掴んでは、堪らずその身を抱き締めて首元に顔をぐりぐりと埋めてしまった。どことなく、顔が熱い。愛しさと恥ずかしさ、そして、どうしてもその存在を噛み締めたくて、今日だけだからな、そんな言葉に甘えてははらりと落ちたサファリハットを他所に両腕を腰へと回した。
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