SSおきば
※:性的描写あり25.07.05
相方くん×おにいさん
相手の名前で荷物を受け取る話
https://odaibako.net/gacha/242
事前に話を聞いていたので特に驚きはしなかった。つい一時間前までは本人が受け取る予定であったが、突然連絡を寄越したフレンドからオープンマッチに参加するがどうしてももう一人足りないと誘いを受け、仕方ないといいつつ軽い足取りで外出していった恋人にもし不在のうちに届いてしまったらよろしくと頼まれていたので、インターホンが鳴ってすぐ躊躇いなく玄関のドアを開けて例のブツを受け取った次第である。
「食い物か」
送付状の品名欄に印字されていたのはお菓子という三文字。バンカラ街には売っていない興味深い菓子でも見つけ、浮かれて通信販売で頼んだのであろう過去の彼の姿を想像しては思わず口角が上がった。
元々こういった類の買い物を自分する機会がないため、部屋の外に表札もなければ本人確認をせずとも荷物を受け取れるものなのかと一瞬不思議には思ったが、家族で住んでいる家にとっては何も違和感はないことを瞬時に思い出しては納得する。それにしても、荷物を受け取った際、配達員にヒナタ様でお間違いありませんか、と確認を取られた時に何の迷いもなく頷いた自分が今更おかしくなって、ここ数年で随分と絆されてしまったものだと感心する。
(……一人でいるのが当たり前だと思っていたのに、不思議なもんだ)
自分には姉がいる。その姉も顔を合わせることは少ないが、今となっては家族のように接してくれる友人が随分と増え、一人でいることの方が少なくなってきたように思う。十年前の自分に、今は家を持ち時より毎日を過ごした四人で集まっては共に食卓を囲むこともあるなどと話をしたところできっと信じてはもらえないだろう。
「たっだいまー」
「おかえり」
「あっ、やっぱもう来てたか! 速攻開けるぞ!」
「先に手を洗え、俺は茶でも入れる」
「分かった!」
余程楽しみにしていたのか、担いでいたブキを投げ捨てるように床へ置き、汗だくのまま洗面所へと駆けていったヒナタに小学生かとぼやけば、壁を挟んだ先からうるさいなと照れ臭そうに飛んできた文句に再び声を上げて笑った。
「待ってろ、俺の復刻版全国ご当地たこやき煎餅セット〜!」
コーヒーじゃなくて正解だった、そう心の中で一人微笑みながら、おもちゃを買ってもらった子供のように我慢できず歓喜の声を漏らす彼を他所に、茶柱の立ったお茶を一口そっと含んでは静かに息を吐いたのだった。
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