SSおきば

※:性的描写あり

16.06.07

モブ×マゴ ※
痴漢されちゃう話
 今回ばかりは致し方なく、と気が進まないながらも軽い考えで行動をしてしまった数十分前の自分が憎らしい。
 これから大事な出稼ぎの為にハイカラシティへと足を運ぼうと、長年愛用していたスクーターに跨いで体重を掛けた瞬間に、情けなさすぎる空気の抜けるような音が飛び出したかと思えば、そこからはどれだけエンジンをかけても息を吹き返す事も無く、うんともすんとも言わなくなってしまった。
 と言えど、ちょうど稼ぎが少なく各方面への支払期日が迫っている為、たかがスクーターが壊れたくらいで収入を諦める訳にはいかない。そうと決まればいつものエゾッコメッシュをしっかりと被り、ショルダーバックを肩に掛け、勢いよく店を飛び出し向かった先はハイカラシティまで数駅分距離のある最寄駅だった。元々イカスツリーまでの距離は短くもなく、とはいえ遠いという程のものでもないが、やはり徒歩となると行き帰りだけで一時間以上を費やすのはさすがに体力的に厳しい。本当は交通費をかけてしまうのも悔やまれるのだが、今回ばかりは許してほしいと一人心の中で零しながら、ちょうど駅へと辿り着いた四両程の短い電車の扉が大きな息を吐きながら開いていたので慌ててその中へと足を踏み入れる。
 平日、ましてや昼過ぎ頃の中途半端な時間ではやはり人の気配は少ない。ちょうど乗り込んだ車輌は一番後ろの端に繋がる四両目で、他の車輌に比べると多いのであろう、座りきれなかった十数人のインクリングが吊り革を掴んで立ち尽くしている。
 本当は腰を下ろして休憩がてら座っていたいと思いつつも、ハイカラシティの駅までは十五分かそこらで到着するはずなので、大人しく早々と諦め、隣の車両を繋ぐ扉付近の手すりを掴んでは暇潰しにとバックに入れていた携帯電話を取り出した、その時だった。

「っ…?」

 先にバイクで向かっているはずの二人へ連絡するべく、チャットアプリを開いて一言、少し遅れますと送信しようとした直後、腰辺りをなぞるような感覚を帯びて、思わずそっと視線を後ろへと向けながら下へ落とした。

(後ろの人の…かな)

 ちょうど窪んだ部分に嵌るように立ち、扉の方を向いていた為、この時はすぐ隣で吊り革を掴んでいた若いボーイの背負ったリュックサックがぶつかっただけだと思っていた。しかしその数分後、今度は明らかに尻を揉みしだいている手の感覚に危なく手に持っていた携帯電話を落とすところだった。

(う、嘘だろ! こ、これってもしかして…)

 明らかに、痴漢です。
 両手でお守りのように強く胸に抱き留めるも、あまりの驚愕ぶりに声も出ないどころか後ろを振り向く事さえ出来ず、なんとか誰かに助けを求めようとするも、気付かないうちに自身より体格のいいボーイ数人が、取り囲むように立っている事に気付いた。恐らくこれでは座っている乗客もこちらの様子には気付かない。

(ど、どっ、どうし、どうしよ…!)

 若いガール、どころかもう活きの良い年齢をとうに超えている自分のようなボーイを集団で痴漢をするとはどういう了見なのか。助けを呼ぼうにも、ボーイがボーイに痴漢されているなどよくよく考えてみれば実に恥ずかしく、そう考え始めてしまった途端に声も上げられなくなってしまった。

「っ……や、やめて、くだ…さ…」

 なけなしの勇気を振り絞り、それじゃあダメだろうと自覚があるくらいのか細さで訴えた声は一応彼の耳にも届いたらしく、その中の群を抜いて逞しそうな体つきをしたボーイが、小さく屈んでいた自分の耳元でそっと一言、優しささえ感じられる甘い声で呟いた。

「…おにいさん、結構かわいいね。なんだか挿れたくなってきちゃった」
「い、ま…なんて…。あっ、ちょ、待…ひうっ!」

 ねっとりと触れる熱い吐息に体をぶるりと震わせ、籠もる息遣いに意識がふらついてきた頃、ハラシロラグランの裾から自分よりも一回り大きな手が滑るように入り込み、そのままスパッツを少しずり降ろしては止める間もなく前へと回りこんでいった。自然に背後から抱き締めるような形になり、尚更自分の影は周りの人々の視界から消え、せっかく振り絞った声も電車の揺れる音でかき消されてしまった。

「お、願い、だ…から、離してっ…!」
「そんな事言って…ちんちん、大きくなってるよ。興奮してるの?」
「ちがっ、違う!」
「すっごくえっちな顔してる…ほんとはこうして欲しかったんでしょ? パンツも履かないでこの車輌に乗っちゃうなんて、痴漢してくれって言ってるようなものだよね」

 あろう事か直接触れて下半身を握り、ゆっくりと扱き始めたボーイのもう片方の手に掴んでいた手すりごと腕を掴まれ、大胆にももう一人のボーイが目の前で屈んだと思えばするするとフクをたくし上げ、既にぷくりと反応を始めていた胸の突起を口でじゅるじゅると吸い上げていた。

「ん、あぁっ! や、だっ…やだやだ! うっ、うぅうう!」
「へぇ、その顔かんわいい。やっぱり当たりだったなぁ…あぁほら、泣かないで。もっと気持ち良くしてあげるから」

 気持ち悪さしか感じられない前後から弄られる感覚に吐き気を催すも、その中で咄嗟にバックに詰め込んでいた携帯電話の存在をようやく思い出し、拘束されていない方の手でそれを取り出すと、まだチャットアプリの画面で電源が付いたままだった事に安堵し、慌てて文字を打っては送信ボタンを押した。

「あっ、なぁにそれ。見せてよ」

 直後、すぐさま目の前のボーイにその携帯電話を取り上げられ、まじまじとスライドをしては読み漁る彼の手から取り返そうとするも、一歩後ろへ距離を置かれてしまい、身動きできない今の状態ではこれ以上腕を伸ばす事は出来なかった。

「これもしかして、彼氏? へぇ、アホそ〜」
「やめっ、返して!」
「安心してよ。ちゃーんと俺が返信しておいてあげる…一旦、家に帰ります、ってね」

 まるで絶望感を味わわせるようににやにやと汚い笑みを浮かべ、不要とみなした携帯電話を床に放り投げると、再び体中を貪りつくそうと上半身へと腕を伸ばしてくる。

(っ…あと、もう少し…我慢すれば、なんとかなるっ…!)

 チャットの相手である彼が今の状態の自分の前に現れる可能性が消えた事は、寧ろこちらとしても好都合だった。ボーイがボーイに痴漢どころか、強姦されかけているなど情けないにも程がある。いくら多勢に無勢といった状況であっても、どうにか心配を掛ける前にこの窮地を脱したいところだった。たった数駅間の電車の旅だったはずが、今回ばかりはその十五分という時間やけに長く感じ、ようやく終点である次の駅で降りる事が出来ると安心したその時、途中まで下がっていたスパッツが突然全てずり降ろされ、臀部の割れ目に生暖かい太く大きなものがひたりと触れたのが分かった。

「あっ、う、うそっ…嫌だ!」
「君、やっぱり経験者かぁ…良かったよ、広げる手間省けて。ほんとは降りてからにしようと思ったけど、もう待ちきれなくてさ」
「っ、お、お願い…だから、それ、だけは、あっ…あ、う、ふあぁっ!?」

 すでにべたついた体液が付き、どくどくと奮い立つその肉棒の先端がずぶずぶとまだ狭い入口を抉じ開けるように侵入してくると同時に、自身の陰茎さえも頬張られ、口内で暴れる舌触りに思わず吐きそうになった。双方から襲いかかる強い刺激に腰がくだけ、立っている事さえままならず、しかし下半身が落ちるに乗じて奥へと沈んでいく息苦しさに思わず歯を食いしばった。

「ひふへもふぁひへひぃよぉ」
「うっ、うぅう! い、たっ…いだ、ぃいっ!」
「あぁっ…すごいよ。狭くて、ぎゅうぎゅう締めてくるこの感じ…。もっと、もっと気持ち良くなろうね」
「あっ、ぐ、んっ、ふ、うぅっ! ん、ぐ、うえぇっ…も、やめ、て…! あっ…く、ひっ! あ、やぁあんっ!」

 今にも弾けそうな、窮屈そうに中で動く陰茎と、首から耳、頬、そして顎を掴み、無理矢理に涙でぼろぼろになった顔を後ろへ向けさせれば、噛み付くように薄い唇を貪られた。同時に自身のものも吸い付くように扱かれ、終点駅まであと数十メートルというところで二人、同時に果てては二度と忘れられそうにない熱の篭るごぽごぽという音が脳内で響き渡り、ぽたぽたと白濁が後ろから床へと落ち撥ねるのを眺めながら自身の体もずるずると沈んでいった。


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