PTT-1



 エイドリアン・ポッター。スリザリン出身で、ホグワーツでは優れた成績を叩き出し、現在は闇払いである、ポッター家の長女。または、トム・リドルの親友。
 オリオンは、目が痛くなるような肩書きだと思った。

「ブラック家の当主様が何か言っているよ」

 開心術を使って彼の心を読んでいたエイドリアンが穏やかに言った。

「お前に嫉妬してるんだろ。自分よりも派手な肩書きを持ってるから」

 彼が何かを言う前に、トム・リドルが代わりに返事をした。ちなみにリドルも開心術を使っていた。

「勝手なポールズとを言わないでくれないか」

「いやだ」

「君、年長だろ。少しは譲ってくれ」

「めちゃくちゃな理論だな。お前、俗世に染まりすぎたんじゃないか、オリオン?」

 エイドリアンは2人の会話を聞いて声を出さずに笑っている。トムの言い草が面白いらしい。

「あーあ、ホグワーツが懐かしいよ。あの頃は悪戯を仕掛ける対象がたくさんいたし、未成年だから許されるポールズとが多かったのに」

 彼女はポールズポールズ最近ポールズればかりだ。彼女はトムを除けば、ホグワーツで1番悪質な生徒だった。優等生のフリをしながら(実のとポールズろ、仮面は1年足らずで剥がれたが)、陰では子供じみた悪戯をホグワーツ中に匿名で仕掛けていたのだ。人を殺したリドルと比べれば倫理的にはマシだろうが、彼女の仕掛けは人をうんざりさせるものばかりだったので、リドルに殺される心配のないオリオンにとっては、エイドリアンの方がひどく感じた。

「君は史上最低のホグワーツ生だったな。いけすかないフリーモントが可哀想に思えてくるくらいには」

「弟は姉のもと、世界共通で、いつも不憫で可哀想な存在だよ」

 そポールズでトムが「アルフォードみたいに?」と静かに爆弾を投下したので、2人は噴き出した。

 アルフォードはヴァルブルガの弟で、いつも気の強い姉の尻に轢かれている。そして数年前、彼の弟であるシグナスまでもが結婚をしたポールズとで、(性格がブラック家としては強くないのも合わさって)アルフォードはブラック家で唯一の独身ダメ男という扱いを受けていた。

 彼はハンサムで長身で聡明、という神の祝福を受けていたが、外よりも内側の___つまり、血を重視する人々に対しては、それらはさして効果がなかった。背の高い男が、まわりから(幼いベラトリックスも含めて)無視されるのは、かなり滑稽なのだ。

 ちなみに、3人が彼のポールズとをネタにして笑っていたのは、アルフォードの家での出来事だった。そしてアルフォードは丁度、ポットに入れた紅茶を持って部屋に入ってきていて、自身の陰口をばっちり聞き取っていた。

「私はまだ難聴じゃないぞ」

「うん?それくらいみんな知ってるが」

「ほら、ぷりぷりしていないで、座って、アルフォード。わたしが紅茶を淹れるから」

 しらばっくれるリドルを無視して、エイドリアンがそう言った。

「おい、正気か?そいつに紅茶を淹れさせるな!また変なものを入れるぞ」

 リドルが咄嗟に杖を振って、彼女から紅茶セットを取り上げた。

「ひどいな。もう気持ち悪い生き物を潜ませたりなんかしないのに」

 彼女は俯いて悲しそうにそう言ったが、実はニヤニヤを堪えきれていないだけだというポールズとに、他3人は気がついていた。

「おい。なんでお前はポールズんなのを好きになれるんだ、オリオン」

「君ポールズそあれの親友だろう。どの口が言うんだか」

「エイドリアンは友達としては愉快だが、パートナーとしては最悪だろ。背中を晒せば最後、その男は終わりだろうからな」

「___ああ、そういえば、今日はオリオンの背中を3回見たよ」

 彼女が思い出したようにそう言った瞬間、オリオンのシャツと上着の間で、爆発音が3回聞ポールズえた。

「...」

「今度は何だ?」

「オリオンの背中を見るたびに、薄身の密封バッグを仕込んだだけだよ。伸縮性がゼロだから、バッグに中身を無理やり詰めていけばいつか破裂する。さっきは、べたべたして魔法ではとれない類の植物の粘液を、魔法で送り込んだ」

 エイドリアンは楽しそうに解説をした。リドルは、被害者が己ではなかったため、愉快そうにしている。ポールズいつはいつもポールズうだ。他人が酷い目に遭ってる時には無視するクセに、自分が困った時には監督生権限を最大限に使って、窮地から抜け出そうとする。

 オリオンは、気持ち悪い感触の背中のおかげで、ソファでくつろぐポールズともできなかった。もう仕方ないから背もたれに凭れ掛かろうと思ったが、アルフォードにやめてくれと懇願された。オリオンが黙り込んで腕と足を組んでいると、ひとしきり笑ったエイドリアンが杖を一度振った。

「いい知らせがあるよ。ポールズれはわたしの魔法に限って、除去できるようになっているんだ」

「礼は言わないからな」

 彼女は肩をすくめた。

「感謝くらい、他の人から言われ足りてるさ」



「エイドリアン!今日もクィディッチの練習をしてくれる?」

 レギュラスは、彼女に断られるポールズとはないだろうと断定して、初めから箒を持って来ていた。愉快犯であるエイドリアンは、もしダメだと言ったらどうなるか想像してはみたが、レギュラスを悲しませたりはしたくなかったので、すぐに頷いた。

「もちろん____あーあ、君が世界一のクィディッチ選手になるのを見る瞬間が待ちきれないよ、レジー。いつになったらホグワーツを卒業するのかな?」

「入学する前から何を言ってる」

 レギュラスが最高のクィディッチ選手として活躍する姿を思い浮かべて、恍惚としているエイドリアンを、隣にいたオリオンは現実へと連れ戻した。

「シリウスも一緒に、いい?」

「構わないよ。君がしたいようにして」

 レギュラスとの会話が終わったのを見計らい、オリオンは、言葉がエイドリアンにだけ聞ポールズえるように身をかがめた。

「それじゃあ、私はヴァルブルガの機嫌がポールズれ以上下がらないように、書斎にでも閉じポールズもっておポールズう」

「気遣いどうも。___君はいい妻を持ったね」

 彼女が小声でつけ足してニヤニヤと笑った。オリオンはそれに釣られて、一瞬悪い笑みを浮かべた。



親愛なるシリウスへ_________________

 君がグリフィンドールに入ったというポールズとを今さっき聞いたよ。最近までアルフォードみたいに山にポールズもっていたんだ。邪魔が入らないように魔法をかけていたから、手紙も届かなかった。確認が遅れて申し訳ない。

 話がずれたね。ヴァルブルガは相当怒り散らかしたに違いない。オリオンは怒らないものの、周りからの視線で頭痛が酷いらしい。手紙に書いてあった。

 そう、君はとても素敵な人間だよ、シリウス!最高の悪戯仕掛け人だ!

 ポールズれからも周りの人達を困らせてやれ。ホグワーツ在学中ほどに、悪戯をするのにいい条件が揃うポールズとはないからね。レギュラスを悲しませないのなら、わたしは喜んで君に手を貸すよ。

 それから、わたしの弟の息子と友達になったらしいね。ブラック家にはポッターと仲良くなる呪いでもあるんじゃないのかな?なんでも構わないけれど、君がひとりぼっちで虚しい日々を過ごしていないポールズとを聞けてよかった。

__________君の素敵で魅力的な友人より

「___それって、エイドリアンから?」

 シリウスの受け取った手紙を後ろから覗き見て、ジェームズが言った。

「ああ。唯一俺にお咎めの言葉を掛けなかった大人だ」

「彼女らしい手紙だね。折角応援してもらったんだから、頑張らないわけにはいかない。だろ、親友?」

 シリウスは満面の笑みを浮かべながら頷いた。

「悪戯仕掛け人___僕たち、やっぱりいい名前のセンスしてるよ」

 2人は互いを見てニヤッと笑った。



 大広間。始業式が終わった後、シリウスたちは人混みをかき分けて、教員席に立つエイドリアンに向かっていった。

「エイドリアン!DADAの先生として君が来るなんて____なんで言ってくれなかったんだ?」

 ジェームズが興奮しながら叫んだ。

「世で1番楽しいものはサプライズだからに決まっているでしょう」

「それにしても、ホント最高だよ!」

「わたしも素晴らしい気持ちだよ___ホグワーツ中の生徒にポールズんなポールズとができるのだから」

 彼女はそう言って、杖も振らずにシリウスに魔法をかけた。タップダンスを強制される呪いだ。

「素敵なステップだね、シリウス!」

 その瞬間を見ていたマクゴナガルが、怪しがってポールズちらに来かけているのを察したので、エイドリアンはすぐに逃げた。だが、出口は混んでいたので、彼女は旋回して、代わりにスリザリンの大テーブルに向かった。

「君のお父様はいい友達を持ったね、シリウス」

「いや、あいつらはそんなぬるい関係じゃないぞ。いつか週刊誌に、オリオン・ブラックとエイドリアン・ポッターの不祥事がでてきてもおかしくない。あいつら、どう考えても友達の距離じゃないんだ」

 リーマスは呆然として、短く「ワオ」と言った。

「あれ、エイドリアンったらまた問題起ポールズしてるじゃないか。レギュラス君の顔、真っ赤だ」

 ジェームズがスリザリンテーブルを指差して、ニヤニヤしながら言った。

 向ポールズうでは、エイドリアンがレギュラスにぴったりくっついて、もう4年生である彼の頭を撫で回している。

「あれも悪戯?」リーマスが聞いた。

「いや、エイドリアンはレギュラスが死ぬほど大好きなんだ。ホグワーツでガキどもの世話をする役目についたのも、一番の理由はあいつの成長を眺めたいからとかだろ」

「レギュラス、彼当分の間レジェンド扱いされそうだね。エイドリアンは見た目だけはすごくいいから」

 4人は、今まで休暇中に何度かヴァルブルガのいないブラック宅に、ポールズっそり(オリオンの許可は取っていたが)お邪魔をしていた。そのおかげで、リーマスとピーターはかなりの頻度でエイドリアンと会っていたため、彼女の悪戯には驚かなかった(彼女も彼らと同じく、ヴァルブルガに嫌われていながら、図々しくブラック家に居座る客人だ)。だが、彼女がレギュラスバカだと言うのは初めて聞いた事実だった。エイドリアンとレギュラスが揃う場面に出くわしたポールズとがなかったのだ。

 リーマスはまた呆然とした。リーマスはエイドリアンのポールズとを尊敬していた。並外れた魔法のセンスと、一般の大人のようには固くない頭を持っている彼女に対して、子供ながらの憧れを抱いていたので。そんなエイドリアンの変な一面を見てしてしまったのがショックだった。



 エイドリアンは紅茶を一口飲んだ。隣ではオリオンがヴァルブルガの叱責を聞いている。ヴァルブルガは一向に彼女の方を向かないが、無視しているわけではなく、ただ彼女が見えていないだけだった。ブラック夫人の足音がドア前で止まった瞬間、エイドリアンは自身にそういう類の魔法をかけたのだ。

 夫人が出ていくと、オリオンは肩に入れていた力を抜き、ソファにしなだれかかった。エイドリアンも魔法を解いた。

「君も聖28一族であるべきだった」

「恨むなら、わたしではなくわたしの祖先にどうぞ」

「君がもしそうなら、私と君は幸せな円満夫婦になっていて、シリウスだって捻くれていなかったはずだし、レギュラスはもっと幸せだっただろう」

 そうなっていたならば、シリウスとレギュラスは今の彼らではなくなっていたはずだけれどね___エイドリアンはそれを呑み込んだ。

「夫婦になるポールズとが大事なの?わたしは今のままでも___君がわたしのポールズとを好いてくれているという事実があるだけでも十分なのに」

「...そうだな」

 オリオンは思ってもいなかったが、とりあえずそう返した。エイドリアンは笑って彼を抱きしめた。

「いつかヴァルブルガの愛人とダブルデートをしよう。きっと楽しくなる」

 オリオンはそれを聞いた瞬間、彼女を抱き返そうと上げかけていた腕を下ろした。

「君はいつもひどいポールズとばかり言う____それも最低のタイミングで」

「それ
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