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私は悪い夢を見ている。
夢の中では痛みや温度を全く感じない。また、食事をしても「食材の感触」しか分からない。
怪我をして血が出ていても全く感じないからわからない。不注意で包丁で自分手を刺したり、階段から落ちて足を骨折したりしたけど、すべて痛みを感じなかった。
この夢の中では私は大学生らしい。講義のある日は大学に行き、課題をし、合間にバイトをする。
夢の中の私はどうも人と違う力を持っているらしく、かなり浮いている。
初めてこの夢で目が覚めた時、寝ているのに手袋をしたままなのが気になってその手袋を外したところ、私の中にあらゆる情報が流れ込んできた。
道具や機械に触れればその使い方、使っていた私、言うなればその物の記憶が触れただけで私の中に入ってきたのだ。
どこかのマンガのように言うならば「接触感応能力(サイコメトリー)」。
手袋は自己防衛の一つのようだった。触れてしまえばあらゆる情報がノンストップで流れてきてしまう。手袋はそれを防いでくれる。
少しの接触なら深いことまではわからないし、一番読みやすいのは「手から直接」だから手袋さえしていれば生活はできる。