みのり×辰巳



最初は怖い人なんじゃないかって思ってた。だって、刺青入ってるし、か、髪色とか!ほら!赤だったりグレーだったり!その筋の人なんじゃないかって実はビクビクしていたのをふと思い出した。実際絡んでみたら全くそんなことないのにね。辰巳さんはむしろ逆だ、すごく優しくて、正義感が強くって、ちょこっと抜けてるところがあったり。何はともあれ人を見た目で判断してはいけないって、ほんとその通りだなあと思う。

『たーつみさん!』

隊室で麻雀大会が開かれるたびにやってくる辰巳さんに、わたしは今日も声をかける。前までは辰巳さんがやってきたら邪魔にならないようにとソファから離れたり、ひっそり部屋から出てったりしてたけどもう今は違うから。眠たげな目元をゆるりとこちらに向けて「邪魔するぞ」と言って小さな紙袋を渡してきて。へへ、今日はなんだろな、と開いた紙袋の中には可愛らしいくまとお花の型抜きクッキーが入っていた。

『わーい!クッキーだ!』
「うん、美味いかは知らんがな」
『辰巳さんの作る料理はなんだって美味しいから平気です!』

辰巳さんがうちに来るたびにわたしに手土産を持ってくるようになったのは、いつからだろう。家では料理は辰巳さんが担当してるみたいで、たべてみたいなあって言ったのがきっかけだったっけ。こんな可愛いお菓子を作っていると想像するだけで…なんだか可愛くて思わずうふふと笑ってしまう。ぱくりと一つ口に入れればバターの香りが広がった。焼き加減もバッチリで、とっても美味しい。さすが辰巳さんだなあ。それと同時に彼がぼふりソファに寝転んで。うーん、いつものことだけどトリオン体で眠って疲れ取れるのかな…前に玲さんから聞いた話によれば、辰巳さんはお仕事をし始めると寝るのも食事も忘れてしまうほどに没頭してしまうみたいだから。心配だなあ、なんて。