雛菊×ビリー



思えば私はずっと、誰かの背中に護られてばかりだった

ある日は兄の、ある日は藤丸さんの。またある日はアサシンの  もう、小太郎くんと呼んだ方がいいかな。小太郎くんの背中に隠れて泣いてばかりだった弱い過去の自分でさえも。誰かの背中に隠れて、安全地帯で眺めているばかりで。

ああ、そんな私の存在価値はなんなのだろうか。自分がいて喜んでくれる人なんて、いないのではないか。弱音を吐いては、飲み込んで、気丈に振る舞って心はいつでも助けを求めていた。そんな時に出会ったのが  ビリーだった。

「私の中でビリーは、ビリーよ」

それは心からの本心だったけれど、実際は、私が言われたかった台詞なのだろう。天才の柊と出来損ないの雛菊、生まれた時から兄の後釜としての存在しか与えられなくて、人として育てられたのは兄とアサシンがいなくなったその日までで

私はきっと、ずっと。自分を認めて貰いたかったのだ。誰かの背中に隠れるだけではなく、自分自身の手で誰かを守りたいと思っていたのだ。