メア×旧多



ハイルの亡骸を前にして、ただ一言メアは『血まみれ』とだけ呟いた。
人の死は呆気ないモノだと再確認した。ただお腹に穴が空いただけで死んでしまうのだ。ただ首が取れただけで死んでしまうのだ。脆くて、弱くて、儚くて。だからこそ我々喰種の獲物になってしまう。

『宗ちゃん』
「……あの〜、メアさん?今私死んだふりをしてるんですけど、声かけないでもらえます?」
『そんなのしらない。なんでハイルを殺したの』
「え〜マジ話が通じない!ていうか私が殺したわけではない…おっとそんなに睨んだら可愛い顔が台無しですよー」
『宗ちゃんなら助けられたはずなのに、』

  ハイルを見殺しにした。メアは重たい前髪に隠れた双眼で旧多を睨んで、赫眼は赤く、紅く、赤黒く彼女の怒りを表していた。
旧多はCCGに本性を隠しているのだ、こうしてメアと話していること自体誰かに見られてしまっては困る。ち、と小さく舌打ちを落とした。