メア×宇井



メアは黒を基調としたフリルのついたワンピース  所謂ゴスロリ調の服を好んで着ていた。そのうえ紫の髪をしているものだから、CCGの建物内でもその姿はよく目立つ。此処で彼女のことを知らない人はもういないとはっきり思えるほどに。彼女は特別作戦を立てる前から有名ではあったのだが、それでもだ。そんな目立つ女が今日もまた宇井の前にひょこりと現れる。

「暑くないの、それ」
『あつい?どれ?髪?』
「違う。服」

CCGは建物内だ。宇井ですらジャケットを脱いでシャツとベストだけだというのに、溜息交じりに宇井は聞いてみたが、不思議そうな表情を浮かべながらもメアは『平気だよ』返す。その拍子にくるりと一回転して、スカートの中に履いたパニエが見えた。ギジリと詰まったそれに中はタイツ、上は長袖だなんて、お前が暑くなくてもこちらが見ていて暑いからやめてくれ、と宇井は正直に思ったがそんなことを言ってやめるような女ではないのは重々承知していたから。

「これ、あげる」
『?』

元々は部屋着にしようと買っていたものだが、サイズが合わなかったため押入れの肥やしになっていたパーカーを宇井はメアの方に放り投げる。ぽふ、と受け取ったメアはそのまま何度か手で触感を確かめてから、もう一度不思議そうな顔を浮かべた。

『宇井、なぁに、これ』
「パーカーだよ。目立つからここではそっち着て」

ぱーかぁ、と宇井の言葉を小さく反復しながら袖を広げて見る。いくら宇井が着れないサイズだとはいえ、小悪魔と名が付くほど小柄な体系のメアには大きく感じた。