琴音×財前



苺がたくさん乗ったタルトに、可愛いラテアートの施されたカフェラテ。可愛らしい雑貨や装飾品が並べられた店内は、ゆったりとした曲調のBGMがかかり落ち着いた空間で。なにもかもが私の好きなもので埋め尽くされていた。目の前に座る財前くんの前にも私と同じタルトがひとつ。違うのはコーヒーがブラックだってことくらい。
「わ、ラテアート可愛い!猫ちゃんだ!」
「よかったすね」
「財前くんはよかったの?ホットコーヒーだとラテアートしてもらえないのに…」
「まあ、こういう気分だったんで」
なるほど。冷たい飲み物の気分の時でももったいない精神でカフェラテを選んでしまったりする私とは正反対だなあ、と思いつつラテアートを写真に収めた。
「あ、このラテの猫ちゃん…よく見たら財前くんに似てるなあ」
「は?どこが」
「この目がつんってしてるとことか」
添えられたスプーンで少しだけ加工を施す。耳にちょんと泡を置けばピアスの完成だ。
「ほら、どう?」
「全然似てへんし琴音さんから見た俺ってそう映ってんすね」
ちょっと不機嫌そうに目を細めた財前くん。可愛くていいと思うんだけどなあ。でももしかしたら男の子は可愛いなんて言われるのは好きじゃないのかもしれない。ごめんねと言いつつひとくちいただいた。こういうラテアートって飲んでしまうのが勿体ないけど、冷める前に飲まなくては淹れてくれた人に失礼なので容赦なくいただきます。写真は撮ったし、いいよね?