「ひぃ…!やめてくれぇ…!!」
ある日ある場所で。一人の男が悲鳴をあげていた。その男の服を掴むと、少年は情け容赦なく殴っていく。
「や、やめてくれ…!許してくれぇ…!!」
男が必死になって少年に請うが、少年は手を止める事なく男を殴る。男は少年に掴まれながらも抵抗するが、無駄だった。
「ゆ、許してくれ…!た、助けてくれぇ…!!頼むから…!」
「…それを言う権利があるのは、お前に痴漢やストーカーされたエースの方だ」
無言で男を殴っていた少年が口を開く。少年が殴っていた男は電車でエースに痴漢し、更にはストーカーもしていたのだ。
「だ、だって…!あの子は、一度も警察に言わなかったから…!!」
「…お前如きが!エースの事を口に出すな!!」
「がっ…!」
男が叫ぶと、少年は殴り過ぎて腫れた男の顔を更に殴る。その痛みに男は気絶したが、少年はそれを許さなかった。パンパンに腫れた頬を平手打ちし、叩き起こす。
「こんなもんじゃない…!お前なんかから、エースが受けた苦しみはこんなものですまない…!!」
「ひっ…!」
そう言うと、少年は更に男を殴った。ただただ終わりのない一方的な暴力に男は震える事しかできなかった。恐怖からか失禁したらしく、男の股間は濡れていた。
「警察に出頭して全部話せ。そして、今後エースに一切関わるな。エースに近付く事はおろか、盗撮したりするのも許さない。僕はお前がエースに関わる全ての行動を取る事を一切許さないぞ」
「あぐ…」
「返事は?」
気絶寸前の男の髪を掴み、軽々と持ち上げながら少年は男に言った。くぐもる声しか出さない男に少年は更に言い放つ。少年の言葉に男は微かに首を縦に振った。
「分かればいいんだよ。分かればな」
「がっ…」
頷いた男にようやく満足したのか、少年は軽々と男を放り投げた。解放された男はそのまま地面に崩れ落ちる。少年はそんな男の体に蹴りをいれ、踏みつけた。
「またエースに関わる何かの行動をしてみろ。今度は体中のあらゆる場所を殴り潰し、殴り殺す」
そう言い放つ少年のピーコックグリーンの瞳はどこまでも鋭く、また氷のように冷たかった。





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