想像以上に重いそいつが入った袋をドサッと地面に置き一息ついていると、何やら路地裏の方で男女数人の声が聞こえてきた。物陰に隠れしゃがみ込み暫く耳を澄まして聞いていると、どうやら男は二人組で一人の女性を何処かに連れて行こうとしている様だった。
このままではまずい。携帯を取り出し彼の名前を履歴から探し通話ボタンを押した。
「土方さんすみません、マヨ届けるの遅れます」
「あぁん? ふざけんなよ。こっちはメシも我慢してお前を待」
「不審な男二人組みを発見しました」
「…場所は」
「かぶき町五丁目の路地裏です。男二人が執拗に女性に声を掛けてる所ですので職務質問して時間を稼ぎます」
「了解。直ぐに向かう」
相変わらず接続音が鳴ってから直ぐに土方さんは電話に出てくれた。ここから屯所までそんなに遠くはないし割りと早く応援に駆けつけてくれるだろう。
さて、時間稼ぎをしなくてはと路地裏に入ろうと立ち上がった瞬間、誰かに肩を叩かれた。
「 !」
「あれあれぇ?もしかして噂の真選組の女隊士さんだったりするぅ?」
「…逃げて!」
しまった、男達は二人組ではなく三人組だったのか。そう気付いた時にはもう遅かった。
そして今私に出来る事は、先に声を掛けらていた女性を逃がす事しか出来なかった。彼女が路地裏から出るのを見届けたのを最後に、後頭部に鈍い痛みを感じて暗転した。
目が覚めるとそこは薄暗い倉庫の様な所で私は横たわっていた。
後頭部がまだズキズキとする中現在の状況を確認すると、手首と足首には縄がきつく縛られていて、少しでも足掻こうとすれば縄が皮膚に擦れ痛みが生じた。口元には粘着テープが貼られていて助けを呼ぶにも声を発せられない状態だった。
どうしよう、これ確実に土方さんに怒られる。そんな事思っていると、目の前にあった鉄の重たそうな扉が開かれて光が入ってきたのと同時に、先程路地裏で見た三人組の男達が私に向かって歩いてきた。
「おぉ? お目覚めですかい副長補佐さん」
「んー!んー!」
「もう暫く大人しくしててくれよな」
「真選組には連絡入れときましたぜアニキ」
「テメーらこいつは大事な人質だ。傷一つ付けるんじゃねェぞ」
私の元へ来た三人組はその場にしゃがみ込み、一人の男が私の頬を撫でた。抵抗しようと試みるが手脚は拘束されている為叶わなかった。
私が人質として此処へ連れて来られたと言うことはおそらく真選組をおびき寄せる為、もしくは身代金の要求といった所だろうか。もしそうだとすれば、私があの路地裏に来る事を見越しての謀略だったのだろうか。
「それにしても真選組なんかには勿体無いくらい良い女じゃねェか。ちょっとばかし愉しませてくれよ副長補佐さん」
「 !」
「いやアニキそれはマズイんじゃ…」
「うるせェ黙ってろ! 外見張っとけ」
元々生娘じゃねェだろうからな、と隊服に手を掛けられた。流石にこれはマズイ!やられる!!必死に抵抗するが隊服は簡単にはだけ下着が見え隠れしている。本当にこれ以上はやばい!
せっかくだ、声も聞かせて愉しませてくれよぉ、と男は口元に貼られていた粘着テープを剥がした。組み敷かれながらも口元が解放されたのを機に思いっきり息を吸い込んで、そして叫んだ。
「ひっ土方さんっ!!!!」
「御用改めである。真選組だァァァ!!」
20170512
真選組副長補佐編 続
1 次項