まだ息を整えている銀ちゃんにそう告げて私はまた歩き出した。これ以上銀ちゃんの顔を見ていると自分の気持ちが溢れそうで駄目だった。別れるなんて嫌、銀ちゃんじゃないと嫌なの。そう言ってしまいそうだったのだ。
するといきなり肩を掴まれて銀ちゃんと向き合う形にされてしまった。こんなに泣いてるとこ見られたくないと思っているのに関わらず、もう涙腺は完全に崩壊していて涙は全く止まってくれない。
「ちょ、ちょっと名前チャン? 大好きだったよってどーいう事?なんでそんな感じになってるの」
「だっ、て…お互い前を向き合わないとっ」
「え?本当どういう事!?これってもしかして別れ話とかそーいうのなの??」
「…違うの?」
「いやいやいや!!待ってよ名前チャン!流石に一ヶ月以上も放ったらかしちゃったのは悪いと思ってるけど浮気してたとかそーいうのじゃないからねマジで!」
肩をブンブン揺さぶられながらも、何故か必死になっている銀ちゃんの顔をじーっと見つめ浮気以外に何があるんだろう?と思う。それに別れたかったのは銀ちゃんの方なのに何がどうなっているのか理解出来なかった。
「さっき月詠さんと居たし…」
「それは今までアイツから依頼引き受けてて今日終わったんだよ」
「え…でも今日万事屋に行ったら二人とも依頼なんて一ヶ月来てないって言ってたよ」
「おまっ、ガキ二人連れて吉原なんて歩けねぇだろうが」
「鳳仙と戦った時は連れて行ってた」
「あれ以来あんな所連れて行ってねぇって」
「 」
「止めて、その間怖い」
後程、依頼内容聞くと吉原で非合法の薬物が蔓延していて、その黒幕が月詠さんのかつての師匠、地雷亜という者だったらしい。そして怒らないで聞いてねと念を押されてから聞いた内容は、その組織のアジトに潜入する際に月詠さんとチンピラ夫婦を装ったと聞かされた。
「ねぇ名前チャン、誤解も解けた事だしこれから家寄って行っても良い?」
「え? それはもちろん良いけど」
「お前と一ヶ月以上も会えてなかった訳だしさ?色々と溜まってるものが」
「あ、そうだ。神楽ちゃんと新八くんも呼ぼうよ。さっき迷惑掛けちゃったからお礼したいし!ていうか私が万事屋行った方が早いか」
「はぁ?駄目だ駄目!これ以上お預けくらったら銀さんのマグナムが爆発しちまうよ」
「…何の話してるの。 二人とも銀さんが帰ってない間ずっと卵かけご飯だったみたいだから美味しいもの食べさせてあげなきゃね」
「ねぇ、ちょっと俺の話聞いてる…?」
20170509
戻