意識した瞬間ダメになる



「ふぁ〜あ。暇だねィ」
「そうだね、とりあえず自室戻ったら?」
「嫌でィ。もっと暇になるじゃねーか」
「だからって何で非番なのにわざわざ私の部屋でしかも私の布団に収まってるわけ」
「煩ェな。別に非番なんだからどこで何しようが俺の勝手だろうが」
「いや私は絶賛勤務中だから。土方さんに頼まれた書類整理してるところだから」

過去にあった事件の書類を自室で整理していると、入るぞ〜とかいう声が掛かり許可もなく着流し姿の沖田がやってきた。
部屋に入るなり畳んでおいた布団を引っ張り出して私の真後ろに敷き、ゴロンと寝っ転がった。恋仲でも何でもない女の布団に寝そべるってどういう状況なのだろうか。
私はそんな沖田を尻目に何も突っ込まず放置し、黙々と作業を続けていれば暇だと言い始めた。私の部屋に一体何しに来たんだコイツは。

「俺がわざわざお前の部屋に来てやってんでィ。ちょっとこっち来なせェ」
「えっちょっと!」

両脇に沖田の腕が入り、そのまま背後から抱きしめられる体勢になった。首筋に沖田の吐息がかかり思わず肩を震わせ瞼を強くつむる。一体何がどうなっているんだ。
今まで沖田を男として意識した事なんて無かったのに、抱きしめられて背中に感じる厚い胸板やお腹に回る骨張った綺麗な手を見て急に意識し始め、顔が熱くなり火照っている私がいた。

「お前熱でもあんのかィ?身体中熱ィ」
「だっ大丈夫、だから、離してっ」
「耳まで真っ赤でさァ」
「ひゃ、」

フゥ、と耳元に息を吹きかけられ、この手の経験は皆無に近い私にとってどうにかなってしまいそうだった。
そんな状況の私を見て沖田はニヒルな笑みを浮かべた。

「この続きもしてやりやしょうか」
「冗談、やめてよっ…」
「冗談なんかじゃねェよ」
「      」

そう言って流されるまま布団に組み敷かれた私に、誰かこの対処法を教えて下さい。



20170513