荼毘が綺麗な女性を連れてアジトを後にした。
その後ろ姿を眺めながら「荼毘ってモテるんですね」私がそう言えばマグ姉は一瞬驚いたあと、「そうね」と言って頷いた。
少し違和感を感じたけど、特に気にすることも無くスマホに目線を落とした。
それにしても彼はモテる。
この間は可愛い系の女性だったし、その前は気の強そうなクールな女性だった。
でもそんな綺麗な女性たちも1ヶ月と続くことは無く、常に一緒にいたはずなのにパタリと顔を見なくなるのだ。
フルのかな、それともフラれる側なのか。
そんなくだらないことを考えていたら、マグ姉が口を開いた。
「アンタ気付いてないの?」
「へ?何が」
「…荼毘が連れてくる女よ。全員アンタと似てるって思ったことない?」
「え、なにそれ…全然意味わかんないんだけど」
なんの事だと食いつけばドアが開いた。
先程出ていったはずの荼毘が1人で帰ってきた。
マグ姉はなんだか気まずそうだし、私も釣られて黙ってしまう。
「俺が答えてやろうか?」
ガタンと隣に座った荼毘がマグ姉の方を見ると「…わかったわよ」そう言って席を立った。
気づけば荼毘と二人っきりになってしまって、彼はこちらをじっと見るしで変な空気なのは私だけ?暫く沈黙が続いたあと、荼毘はポツリポツリと話し出した。
「最初に見つけた女は背格好が似てた。でも足癖が悪ぃ女だった」
「…うん…」
「次の女は顔が似てた。特に目元。でも泣いた顔が汚ぇからそいつも違うと思った」
「…」
「次の女は声が似てた。俺の名前を呼ぶから結構気に入ってたんだけどなァ。口が悪ぃのがダメだった」
「…ねぇ、なんの話して」
「目がお前と同じ色した女もいたわ。脱がしたらみっともねぇ体だった。本物は傷一つ無い綺麗な体だもんなァ」
まるで私の体を知っているかのような彼の口振りに背筋が凍る。
「お前は汚い言葉使わないもんなァ?だらしなく足も組まねぇし、泣いた顔は綺麗だもんなァ?」
「だ、荼毘…ちょっと待ってよ」
マグ姉の言葉を今更理解して、この状況がやばい事に気付く。危険だと頭では分かってるのに体が思うように動かない。
椅子に縫い付けられたように座る私に、覆い被さるように荼毘が近づく。
「お前みたいに髪が綺麗な女も、お前みたいによく笑う女も、どれも違うんだよ……不正解だったら片っ端から殺してった。きっとお前なら燃える時まで綺麗だろ…?」
彼の指が私の髪を梳くように、指先が耳に当たれば全身鳥肌が立った。
「お前に似てればいいと思ってたんだけど…なかなか似てるやつがいなくてさァ。なぁ、俺はどうしたらいい?」
逃げられない、そう確信してしまった。