「そのコーヒー飲み干したら別れ話でも切り出すつもりか……?」
大袈裟にコーヒーカップが音を立てる。
全て見透かしているような彼の視線に、顔を上げられなくて視線が定まらない。
上手く息も出来ているか分からないし、座っている感覚さえ麻痺してきた。
店内は程よく暖かいはずなのに、手先は冷たくなって行く。
「……っ、ぁ……わ、たし……っ」
必死に声を捻り出して、彼を見て再び固まった。
笑っているように見えて、瞳の奥は冷たくて私を睨みつけるようだ。
「どうした?ゆっくりでいいぜ、焦んなよ」
そう話す彼がタバコに火をつけた。
ゆっくりと揺れる煙越しの彼から目が離せない。
ジリジリと短くなって行くタバコが視界に入って、唾を飲み込んだ。
「このタバコを消したら席を立つ…か?」
肩がビクリと揺れる。
喉を鳴らして可笑しそうに笑う彼は、まるでイタズラ好きの子供のようだ。
「お前のことは手に取るようにわかるんだよ…
人が多い店を選んだことも
外なら大丈夫だと思い込んでることも……
お前のためならどこでも殺せるんだぜ? 」
うるさかった店内の音が一瞬にして無音になった。
心臓の音がうるさくて、このまま破裂してしまいそうだ。
「、や、やめ…て、っ……」
消えそうな声は彼の耳には届いただろうか。
数秒が何分にも、何時間にも感じられた。
タバコが灰皿にグシャグシャに押し付けられた。
「なら場所変えようぜ。ちゃんと話せばお前だって気の迷いだったって気付くだろ?」
震える私の腕を手に取って立たせると、彼が引き寄せた。
「 愛してるよ 」