お化けよりも怖いのは人間

真夜中になるのはノックの音。

こんな時間に誰だ。
ちょうど寝かけていた所だった。
気持ちの良い瞬間を邪魔されて、少しだけ苛立った。
布団を頭まで被って二度寝を始めれば、再び鳴り響いたノック音。

「……っ、はぁ…」

ため息を着いてドアノブを捻った。

どうせスピナーか、トゥワイスか。
ドアをノックするあたり、荼毘と死柄木じゃなさそうだ。
ドアを開けた視界には、ひょっこりと掠めた頭。
視線を落として見れば、背の低い彼女が枕を抱きしめ立っていた。

「なんだ、お嬢か、」

「トイレっ!着いてきて…!」

俺の言葉を遮って、廊下に響いたのは彼女の声だった。


*


「トガちゃんとホラー映画見てたって?」

「うん、」

「それで?面白がった荼毘が夜中に怖い画像送り付けてくるって?」

「うん、!ちょ、っと!もう少し急いで…!」

トイレへと急ぐ彼女の後ろを、欠伸をしながらついて行く。
この屋敷、綺麗なくせにトイレが少ないんだよなぁ。
1階まで降りないとないなんて、住んでる奴は不便だったに違いない。
呑気にそんなこと考えていたら、少し前の彼女が早くしろと小声で叫んだ。

「そんな急ぐなら1人で行けばいいのに」

「むり!だから呼んだんでしょ!」

「悪いことしておいてお化けが怖いなんて、よく言えたなぁ」

いい加減余計なことばかり言う俺に、彼女が怖い顔して睨む。
スタスタと歩く度、着いてきてるかと後ろを振り向く彼女に苦笑いが零れる。

可愛いなぁ。
こんな可愛らしい彼女が、普段はヒーロー相手に悪いことばかりしているなんて。
お化けに脅えて、今にも膀胱が破裂寸前なんて、俺が変態だったらどうするんだ。

「なぁ、お嬢」

「なに?!」

少し苛立った彼女が声を張り上げる。
そんな大きな声出してしまったら、みんな起きてしまうと人差し指を立てて口元に添えた。
いよいよ股間当たりに手を添え始めた彼女が、なんだと睨み上げる。

「俺さ、変態なんだわ。お嬢みたいな可愛い女の子がおしっこ我慢してんのとか堪んないんだよね。漏れるか漏れないか、ギリギリのライン楽しみたいしさ。あ、もちろん漏らしてくれて構わないよ?その代わり、全力で恥ずかしがってよ。どんどんズボンに染みてく感じ見るのも好きだけど、放尿する音も好きなんだわ。今俺が止まったら、お嬢確実に漏らすだろ?ズボン汚すか、今ここでパンツ脱いで俺に聞かれながら見られるか。今のうち選んでおいてよ。あ、大丈夫。他の奴には黙っておいてあげるよ。俺もこんなに性癖持ってるってアイツらにはバレたくないしね。……どう?決まった?」













「なんだよ。つまんねぇな」

「無駄です、荼毘くん。もうお化けは克服したって言っていたのです!」

「そりゃよかった!驚かしてやろうぜ!」

「今は変態がいちばん怖いって言ってました!誰のことでしょう?」

「っプ……クックッ……はははは!」

「おぉっ!なんだコンプレス、ビックリするだろ!楽しそうだな!」

「あつひろくん…怖いのです」

「いや、こっちの話。あー、笑いすぎて腹痛ぇ」