連絡もなしに家に訪れたかと思えば、渡されたのはタバコのカートンだった。
あと5分で私の誕生日は終わりを迎えてしまうというのに、この男はプレゼント代わりにタバコを渡してきたのだ。
「早死しろってこと?」
嫌味ったらしく呟いた言葉に、鼻で笑った彼が吐き捨てた。
「可愛くねぇ女」
何十回と言われてきた言葉が、今日に限ってやけに重く感じた。
いつもだったら笑って流せてるはずなのに、誕生日ってだけでこんなに変わるものなのだろうか。
自分の誕生日に喧嘩なんてしたくない。
そもそもこうして会いに来てくれるだけで幸せなはずなのに、いつからこんなに私はワガママな女になってしまったんだと落胆してしまう。
珍しく何も言い返してこない私を、彼が呆れたように覗き込んだ。
今にも零れてしまいそうな涙を見て、ニヤリと笑った。
「拗ねんなよ。1年半もいれば冗談だってわかんだろ」
「そんなの、わか……え……」
今確かに彼の口から1年半と聞こえた。
目の前の彼が悪戯っぽく笑うのを見て勘違いじゃない、そう思った。
「ッ、だからってこんなギリギリに来るなんて、」
「上書きされるなんて死んでもやだね。お前の最後は俺でいい」
我慢してたはずの涙はついにポロポロと溢れ始め、子供のように両腕を伸ばせば彼が抱き寄せた。
「あ〜ぁ、いい女が台無し」
そう言って乱暴に私の涙を拭う。
「泣き虫な、私は嫌い、?」
しゃくりあげながらそう問えば
「いや?どうせ泣くなら俺の上で鳴けよ」
そう言っていつもよりも何倍も優しく私の手を引くと、ベッドの縁へと座った足の間に立たせた。
キスをする瞬間も、服を脱がす手つきも、やけにいやらしくて胸が高鳴る。
「……っ、ぁ……」
撫でられるだけで声が漏れる私を見て、彼が嬉しそうに笑った。