キスだけだよ

「明日、いつもより早く出るから寝てていいよ」
そう言ってベッドに横になれば、無反応な彼が側まで来た。
当たり前のようにブランケットを捲りあげれば、彼が猫のように入ってきた。
向かい合うように寝れば、じっとこちらを見つめる彼の頬に手を添えた。
数回親指で撫でれば、その手を彼が取ると指先をペロリと舐めた。

「ダメだよ、明日早いもん」

「なんも言ってねぇだろ」

「そんな顔してるから」

目先にかかる髪を指先で良ければ、擽ったそうに眉間にシワを寄せた。

「……ねぇ、荼毘…キス、だけならいいよ」

「キスだけなら要らねぇ」

即答で応えた彼が可笑しくて笑えば、彼もつられて少しだけ笑った気がした。
その顔が可愛くて、嬉しくて、私からキスをした。
段々舌が絡まって、離そうとすれば後頭部を掴まれる。
何分キスしてたか分からないが、やっと弱まった後頭部の手が名残惜しく感じるなんて理不尽だ。
“だけ”のキスじゃないって、自分でもわかっているはずなのに、両頬を包み込むようにしてまたくっつく。

自然と離れる唇が可愛らしい音をたてた。

「だらしねぇ顔」

「しょうがないでしょ、そんな甘え方されたら断れるわけないじゃん」

今宵も夜は長そうだ。