「今日も素敵だわ…さすが私のヒーロー」
【ヴィラン確保!またしてもダイナマイトの勝利!!】
朝からニュースはこの話題で持ち切りで
どのチャンネルも彼の活躍を称賛しているのだ
コーヒー片手にテレビ、新聞、SNS、ありとあらゆる物から彼をチェックするのが私の日課だ
「あら、もうこんな時間だわ。ほら、僕ちゃん行くわよ」
今日は息子の僕ちゃんを連れて体操教室へ
まだ2歳になったばかりの愛しの僕ちゃんにも
ダイナマイトのような逞しいヒーローになってもらうため
コーチの評判も良い、この体操教室へ通わせている
「さぁ、僕ちゃん。今日も逞しく体操しましょうね」
『おはようございます。』
「おはよぉござります!」
「あら、ミョウジさん、おはようございます。娘ちゃんも、おはよう」
ミョウジさんと娘ちゃんは最近通いだしたメンバー
ミョウジさんはとても愛想がよい人で
娘ちゃんはダイナマイトにとても似ている綺麗な髪色に
人見知りもせずいつもニコニコと可愛い子
愛しの僕ちゃんとも仲良くしてもらってるのだが
ただひとつ許せない事がある
娘ちゃんはダイナマイトが好きなのか
よく「パパの真似」とダイナマイトごっこをしているのだ
ミョウジさんたら、娘ちゃんにそんなことを教え込んでいるの…?
他の家庭の教育に文句言う訳じゃないけど…
まず、右手の角度が甘いわ
あともう少し腰を落とすべきよ
顎はもっと出す
口も切れそうなほど大きく開くの
目付きは…なかなかいい感じよ
パパ呼ばわりするのは…聞かなかったことにしてあげるけど
髪の毛色以外は認めるわけにはいかない
だって私はダイナマイトのファンなのだから…!
「さぁ、みんな集まって~!体操始めるよ!」
「せんせー!みて!パパの真似」
何度でも言うわ…ポージングが甘いのよ!
準備運動も終わり、子供たちも集中し始めた頃
なにやら入口付近が騒がしいことに気づいた
「困ったわね…子供たちも集中して楽しみ始めたのに…」
何事かとそちらの方へ目を向けると
「う、うそでしょ…」
私の最推しのダイナマイトの姿が…!
後ろにはサイドキックの烈怒頼雄斗もいるじゃない…!
やだ!こっちに向かって歩いてくるわ…!
もしかしてこの間の人気投票で100票近くダイナマイトに入れたから…!?
それとも公式から出てる40万近い等身大ダイナマイトを保存用と観賞用の2体を注文したから…!?
やだ、思い当たる節が多すぎて汗が止まらないわ!
ダイナマイトったら新陳代謝まで良くすることが出来るの…!?
きっ、きた…!
スタスタとこちらに近付いてきたダイナマイトは私の横を通り過ぎ、まさかのミョウジさんと娘ちゃんの前に立ち止まったのだ
!?
ミョウジさんも娘ちゃんにダイナマイトはパパだという教育をしているせいか、顔が真っ赤になり恥ずかしさでプルプル震えているよう
近づくダイナマイトに気づいた娘ちゃんは躊躇いもなく
ダイナマイトに飛びついたのだ
「ぱぱぁ!」
目元のマスクをイタズラしようとする娘ちゃんの手を握るダイナマイトは、なんだか娘ちゃんを抱き慣れている…?
うっすらと微笑むと
「触っちゃダメだっていつも言ってんだろ。パパは仕事中なンだよ」
………は?パ…パ…?
思考が完全に停止した私を他所にコソコソと話すミョウジさん
『まっぢで勘弁してよ…!なんで来たの!?』
「あ?なんでってパトロールだろうが」
『ちょ!声でかっ!パトロールってここ勝己達のエリアじゃないじゃん!』
「ンなとこで名前呼ぶな。今はダイナマイトだろうが」
『そこ!?…わざわざエリア外の教室選んだのに』
「ナマエと娘ちゃんがコーチカッコイイって言うから気になってたんだよな!」
「なっ!てめぇ余計なこと言ってンじゃねぇ!」
『そんなことで…切島くんも止めてよ…』
「はは、わりぃ!」
「ねぇねぇ、ぱぱぁグルグルしてぇ」
「ん」
なにやらダイナマイトと夢主さん、烈怒頼雄斗達が話していると
娘ちゃんがダイナマイトの手を引き何かをお願いしたようで
教室の真ん中辺りに移動したダイナマイトは
用意されていたマットを使いバク転、バク宙と次々に披露し始めたのだ
頭を抱えため息をつくミョウジさんの肩をポンポンと烈怒頼雄斗が優しく叩き「ドンマイ」と苦笑いをした
満足した娘ちゃんは「ぱぱぁしゅごいー」と拍手をした
再び娘ちゃんを抱き抱えたダイナマイトは真っ直ぐコーチの元へと歩み寄り
「いつも娘と嫁が世話になってます」
そう言う彼の表情は牽制以外の何ものでもなかった
私は愛しの僕ちゃんを手招きし耳元でこう言うのだ
「よく見なさい。あなたの未来のお嫁さんを」