風呂と酒とインド人

「わりぃ、今日は何時になるかわかんねぇ」

勝己から連絡が来た。
盛り付けられた料理は冷蔵庫に移し、すぐに食べれるようにと茶碗類を用意した。

「そっかぁー勝己遅いのか…」

暫く悩んで再び冷蔵庫を開けた。
キンキンに冷えた缶ビールを片手にお風呂場へ。
一人暮らしの時は良く湯船に浸かりながら飲んでたけど、飲みすぎてしまうためここ最近は控えていたのだ。
一度だけ勝己に見つかってしまった時は、行儀が悪いと嫌な顔をされてもうするなと念を押されたっけ。

「やったー!久しぶりにお風呂でお酒」

いつもより雑に洗われた頭と体。
せっかくのキンキンに冷えたビールが暖かくなってしまう。
蓋を机替わりにして、ジップロックに入れたタブレットも持ってきた!
なんて幸せな気持ち…!

あっという間にビールは空になり、タブレットから流れるニュース速報は勝己が倒したヴィランだった。
コイツのせいで勝己は遅いのか…いや、コイツのお陰で?
ふざけた事を考えながら時計を見た。
30分前に倒したってことは、今頃報告書書いてるぐらいかな?
ニヤリとすれば濡れた体のままリビングへビールを取りに出た。
あと1本飲んで、片付けするついでに床拭いて。
確かここに生ハムが…お、発見!…うーん、2本にしとこう。

両手にビールと口には生ハムを咥え再びお風呂に向かう。
あまぷらを開けば見たかった映画を発見して見始めた。
しばらくしてビールも無くなったし、生ハムもない。
映画はいいところだけどそろそろやばそうだから出るか。
かつきのために追い炊きボタンを押して浴室を出て体を拭いた。
体を拭き終わり、タオルをアラジンのように頭に巻けば素っ裸でドアを開けた。

「よぉ。ずいぶんお楽しみだったみてぇだな」

「ファッ!?」

「あれほど風呂場ですんなって言ったよなぁ?床もビショビショじゃねーかどーしてくれんだ、あ?」

―――バタン、ガチャン。

咄嗟に扉と鍵を閉めた。

「おいこら開けろクソが!」

ドアの向こうでギャンギャン怒鳴ってる勝己。
ものすごく怖い。
お酒と湯船のお陰で火照った体は段々冷たくなっていく。

しばらくすると諦めたのかリビングへ戻る音が聞こえた。

あれ?意外と早く諦めた?
ほっとしていると鍵がガチャンと回った。
開いたドアからマイナスドライバー片手に、鬼のような形相でこちらを見ている勝己。

「んなインド人みてぇな格好してねぇではよパンツ履け。説教はそれからだ」