喧嘩の後は

珍しく一回も起きることなく朝を迎えた。
睡眠時間は同じだったはず…いや、昨日は少し夜遅かったからいつもより短かったかもしれない。
まだ重い瞼を何度か瞬きすれば、お腹周りがずしりと重い。
チラリと振り向けば、色素の薄い髪の毛が見えた。

(あれ?いつの間に)

確か昨日は電話越しに大喧嘩したはず。
大泣きしてムカついて、まだ話途中なのに電話を切ってふて寝したんだっけ。

(仕事終わった後、まっすぐ来てくれたんだ…)

彼に抱きしめられて寝るだけで、こんなに熟睡できるなんて。
まだ眠る彼の頬をひと撫でした。
ピクリと動くとゆっくりと瞼が開いた。

「ん、起きたんか」

「うん……昨日はごめんね」

「ったく、焦ったわ」

大きな口で欠伸をすると、私を抱きしめたまま仰向けになった。
勝己の上に乗った状態で彼の手が腰に回った。

「んで?機嫌は直ったんか」

「う、うん…昨日のは勢いで言っちゃったっていうか、言葉のアヤっていうか」

「勢いで別れるとか言ってんじゃねぇ」

「ごめん…」

「そんで勝手に電話切ンな。死ぬほど焦んだろうが」

「…だって…」

何も言い返せすことが出来ず不貞腐る私。
小さくため息を吐いた彼が、私の髪を掬って耳にかけた。

「今月中にでもここ引き払って、お前は俺ん家な」

「えっ」

「異論は認めねぇ」

「〜〜〜っ!勝己大好き!」

「知ってる……けど昨日の分までもっと言えや」

「好き好き!大好き!勝己愛してる!」

「ンなんじゃ足んねぇよ!どんだけ傷付いたと思ってんだクソが」

「うぅ、ごめ〜ん!世界一大好きだから!ギューもチューもエッチなことだってたくさんしてあげるから」

「ハッ、言ったな?」

あっという間に体勢は変わって、天井と勝己の悪い顔。
目の前でTシャツを脱いだ彼が覆い被さる。

グゥー…

「あ゙?」

「ふふふ、ごめん。お腹なっちゃった」

立ち上がった彼が脱いだはずのTシャツに腕を通す。

「飯食ったら覚悟しとけよ」

「はぁい」

間延びした返事をして、キッチンに立つ彼の後ろを追いかけた。