「なぁなぁ、かっちゃん」
「あ?」
このメンバーで集まるのは何ヶ月ぶりだろうか。
学生時代を共にすごしてきた友人達。
自分の会社を持つ者もいれば、専門分野を活かそうと進学した者、家庭に落ち着いて幸せを築いた者。
様々な将来を迎えた中で、コイツは特に順風満帆そうだ。
「最近どうなの」
「どうって何が」
「あの子とは」
そう言って顎で彼女の方を示せば、チラリと見た爆豪が鼻で笑った。
「クソ順調」
いい言葉の前にクソなんて付けるもんじゃないよ…なんて心の中でツッコんだ。
器用に焼き鳥を食べる姿をみて、相変わらず行儀がいい奴、なんて思ったり。
噂されてるなんて知らない彼女は、少し離れた席で女子達と楽しそうに笑っている。
それにしても今日の格好、大丈夫か?
肩は出てるし、細いウエストを強調したベルト。
スカートは短くないが、タイトなせいで体のラインがいやらしい。
肌が透けるような素材に、落ち着いた花柄。
これ清楚ビッチってやつじゃない?ねぇ、かっちゃん。
「…てめぇ今余計なこと考えてんだろ」
「ウェ!?なんでわかったの、さすがかっちゃん」
そう言えば軽く頭を小突かれた。
「ちょっと前のかっちゃんだったらあんな格好したら怒ってたじゃん。マジでどうしたの!?逆に俺が心配になってくるわ、変な男に絡まれてない!?夜道とか一人で歩かしちゃダメだよ!ねぇかっちゃん!」
マシンガントークになってしまうのは、きっとアルコールのせいだろう。
「いつの話してんだよ。ガキじゃねぇンだから言わねぇよ」
そう言って耳に指突っ込んで、うるせぇって顔してる。
学生の頃からみんなのヒロインだった彼女は、今も昔も彼の物だった。
何人の男が指を銜えて見てたと思っているんだ。
そんな俺もそのうちの1人だったと、思い出すだけで虚しくなった。
なかなか進まない彼のグラスを持ち、強引に押し付けた。
「いつからそんなヘタレになったんだよ!かっちゃん!飲めよぉ!」
「っ!引っ付くな!うぜぇ!!」
ワイワイと戯れる俺たちを見て、頬を赤らめた彼女がこちらに寄ってきた。
「どうしたの、なんの話?」
ニコニコと笑う彼女は相変わらず眩しい。
「かっちゃんが丸くなったなって話!」
「丸く、なったかなぁ…?一緒にいすぎてわかんないね、勝己くん」
「おぉ」
こんな至近距離で惚気爆弾を食らうことってあるだろうか。
最近彼女と別れてばっかの俺には、かなりきついダメージだ。
っていうかさ、自然に腕引いたつもりだろうけど、俺気づいてるからね?
俺から遠ざけようとしてんのも、腰に手回してんのも、俺全部見えてるからね!?
「あー…いいなぁ…俺もこんな可愛くてエッチな格好した彼女欲しい」
「え。勝己がこれにしろって言うから着てきたのに、エッチに見える?」
隣をチラリと見れば、すかさず顔を背けた彼が気まずそうにそっぽを向く。
「かっちゃん…」
「…うるせぇ」
「君も男の子だったんだね」
「黙れ、それ以上なんも言うな」