我慢してた気持ちが、一気に暴言となって私の口から吐き出された。
勢いに乗って思ってないことまで出ていけば、後悔の波が押し寄せて情緒を乱す。
気付いた頃には彼の舌打ちが聞こえて、私の息遣いだけが部屋に残ってしまった。
遠くの方でドアが閉まる音がして
“終わった”
そう思った。
最後が舌打ちだなんて彼らしいと思いつつも、悲しみと悔しさが同時に押し寄せて涙が止まらなくなった。
これで終わりなんて、最悪の別れ方だ。
明日から仕事はどうしようかとか、友人や家族にはなんて話そうとか。
どうでもいいこと考えながら目を擦れば、部屋に残る彼の存在に気づく。
写真立てに、お揃いのマグカップ。
今着てるブカブカのトレーナーだって彼のだ。
胸元当たりをクシャリと掴めば、縋るようにそのまま蹲った。
私の家なのに彼の存在が多すぎて、出ていくのは私の方だったんじゃないかと思わせた。
気付けばソファでそのまま眠ってしまったらしい。
掛けられたブランケットにハッとして起き上がったが、彼の姿は無い。
ソファから立つと部屋を見渡した。
寝室に、ベランダに、トイレ。
そして脱衣所のドアを開けたところで、彼と鉢合った。
「びッ!…っくりすンだろうが」
「ご、め」
彼の後ろでお湯を溜める音がして、何だか安心してしまえば再び涙が溢れた。
「どっか、行っちゃったかと思った…」
「コンビニ行ってきた。お互い頭冷やす時間が必要だったろ。あんな状態で話してたら、俺だって余計なこと言っちまう」
そういう彼の言葉に胸が締め付けられた。
「私…思ってもない、こと言った…」
「おぉ、知っとるわ」
「……ごめ、」
私の手をとると再びソファへと座らせた。
コンビニの袋が手渡されて中身を見れば、どれも私の好きなものばかり。
「とりあえず甘いもんでも食って落ち着けや。ンで風呂。それでもまだモヤッとしてンなら話聞くわ」
「うん。……一緒に?」
「は、当たり前だろうが。大嫌いだの、顔も見たくないだの。風呂でも浸かってゆっくり語ろうか、ナマエチャンよぉ」