リスカ

「、くすぐったい」

「バンザーイしてください」

薄暗い部屋の中でじゃれ合うように、お互いの服を脱がし合う。
キャミソールとパンツ姿になれば、ペタリと座り込む私に彼女が覆い被さる。
チクリとする痛みに目を伏せて、血液が搾り取られる感覚をゆっくりと味わう。
首元から彼女が離れると、新たに出来た傷を愛おしそうに撫でた。

「…痛くなかったですか?」

「うん…」

「?どうしました?」

同じようにペタリと座り込んだ彼女が、心配そうに覗き込む。

「ヒミコちゃんばっかり、ずるい…私もヒミコちゃんの欲しいよ」

ソレとはなにも関係もない個性の私。
彼女の血を欲しがる意味を、ヒミコちゃんはどう捉えるのだろうか。

大きく見開いた瞳が、弓なりに細くなった。


嬉しそうに彼女が取り出したのは、手入れのされたナイフだった。
自らの手首に添えると、私の手を掴んでナイフを握らせた。
ドクン、と心臓が鳴る。

「このままゆっくり引いて下さい」

生唾を飲み込んで、重なる彼女の手と一緒にナイフを引いた。
プクりと手首から血が零れると、今度は私の手を取った。
同じように手首に添えたナイフを彼女が握る。

「怖く、ないですか…?」

「…うん、平気だよ」

私の返事を聞くと、安心したような表情をしてナイフを引いた。
同じように溢れる血を見て、何だかホッとした気持ちになった。

彼女がこちらに向けて手首を差し出した。
傷口が重なるように、私も差し出した。
少しピリついた痛みが腕から走るが、お互いの血液が混じる、そんな感覚に目眩さえしそうになる。
合わせた血液が、お互いの肘を伝ってベッドシーツに染みを作っていった。

「ふふふ、なんかエッチですね」

「うん、エッチだね」

おでこを合わせて笑い合えば、どちらからともなくキスをした。