「……貴様何しにここにきた」
「嫌だなエンデヴァーさん!仕事ですよ、仕事!」
そう言ってヘラヘラと笑うこの男はホークス。
ここ、エンデヴァー事務所に遊びに来るフリをしては、ある女性に会いに来ているのだ。
「エンデヴァーさん、こちら頼まれていた書類です。確認お願いします。……ホークスさん、こんにちは」
それがこの女性だ。
実に真面目で仕事が早い、事務仕事は全て彼女に任せているといっても過言では無い。
「あぁ、わかった」
書類を手渡した彼女の後ろ姿をじっと見つめ、
「こんにちは、調子はどうです?」
そう言ってだらしない顔で手をヒラヒラとさせる。
どちらに話題を振っているのか、分からないこの状態にため息をついた。
ぺこりと会釈をした彼女を見送ると、やっとこちらを見た。
いつもに増してニヤニヤとだらしない顔に、早々に2度目のため息をついた。
本人曰く、パトロールついでに俺の顔を見に来たと言っているが、俺と会話をしながらも一枚の羽がパタパタと彼女の元へ飛んで行った。
羽が彼女の肩をトントンと叩く。
気付いた彼女がパソコン画面から視線を離し、振り向けばそこには誰もいない。
今度は逆の肩を叩かれ振り向けば、きめ細かい彼女の頬を羽が突っついた。
目を丸くして驚いた少しあと、ホークスをチラリと見て睨んだ。
ホコリを払うようにくっついた羽を除けると、再びパソコン画面に向き直した。
「んで、それで……あれ?エンデヴァーさん聞いてます?」
「……あぁ。」
「上の空だったんで聞いてないのかと思ってましたよ」
そう言って笑ったこの男を見て、実に器用だと思ってしまった。
こう会話をしている間にも、一枚の羽はめげずに彼女にちょっかいを出しているのだから。
しばらくして、くしゃくしゃになった羽が弱々しく戻ってきた。
それを見てホークスが嬉しそうに眉を下げて笑った。
「随分と行為を寄せているんだな」
「へ?何がです?」
「今更隠すことでもないだろう。彼女だ」
「?…あぁ、ナマエさんですか?彼女面白いですよね〜」
思っていなかった反応に、首を傾げる。
「反応とか表情とか、見てて飽きないというか、もっと困らせたらどんなに顔するのかなとか。あ、だからって特別な気持ちはないんですよ」
そもそも俺のタイプじゃないし、そういうホークスに対してさらに首が傾いた。
「……いや、貴様にとって彼女は、どう見ても特別だろう」
?を浮かべる彼に、更なる追い打ちをかける。
「ならば他の人間にも構うべきだろう。何故彼女だけなんだ」
「え、いや、それは……いやいやいや無いですって。辞めてくださいよ」
そう言って眉間に皺を寄せ、うなり出したこの男。
「……いや、だって……そ、そんな、!じょ、冗談キツイですってエンデヴァーさん!!」
羽よりも真っ赤な顔したホークスが顔を両手で覆った。
まさか、自分の気持ちに気づいてなかったとでも言うのだろうか。
最近の若者にしては芯があるとは思っていたが、所詮今どきの“草食系男子”のこの男。
貴様の気持ちにも気付かないなんて、いくらなんでも意気地が無さすぎる。
目の前に立つホークスの肩をポンと叩くと、力強く掴んだ。
ここは俺に任せればいい、見ていろ、ナンバーワンの仕事を。
「貴様には借りがある。……仲人くらいなら受けてやろう」
「ちょ、まま待って!待ってくださいってば!何言ってるんですか!?エンデヴァーさん!!」
足に絡みつく彼を見て、フッと鼻で笑った。