遂に私は壊れてしまった。
託された思いよりも、自分の想いの方が溢れ出るのが止めらなかった。
「先生を、返、して……っ、お願い…」
先生にもう1回名前を呼んでもらえたら。
抱きしめて貰えたら。
もうそれ以上は何も望まないから。
覆いかぶさった弔の下で、取り乱した私。
顔を逸らせば無理矢理キスをされ、必死に押し返せば両手は拘束される。
固く閉ざしたはずの両足はいとも簡単に開かれ、彼のが私の中を突くのだ。
嫌なのに、もう弔とはセックスなんてしたくないのに。
時折見せるあの瞳に、息遣いに、触れ方に、セックスする時の癖そのものが先生を感じさせる。
「っやだ、やめて…っ、とむらっ…!」
首を振った私の両頬を彼が掴むと、おでこ同士を押し当てた。
真っ直ぐ見つめる瞳に飲み込まれそうになり、息が上手くできない。
「そんなに先生がよかったか…?そんなに俺じゃダメか…?」
怒るわけでもなく、責めるわけでもなく、ただただ哀しそうなその瞳から目が逸らせない。
どれだけ君の隣にいたと思っているんだ。
どれだけ君の成長を見届けてたと思うんだ。
先生の横顔よりも君の横顔を眺めてることが多くなったあの日から。
好きとか嫌いとか、そんな簡単な話じゃないんだと。
君が私を思ってる以上に、私は君を想ってたんだ。
自分の気持ちに気付きたくなくて、拒むように目を瞑った。
気が付けばベッドに寝かされていた。
肩までかけられたシーツがひんやりと冷たい。
肌寒くて身震いすればシーツを手繰り寄せた。
控えめに背中に感じたのは彼の温度だった。
手探りで掴んだ腕を胸元で抱きしめると、再び眠りについた。
もう戻れない。
彼らと出会ったあの日から分かってたことだ。
落ちるなら、一緒に落ちるしかないんだね。
どこまでも一緒に。
先生さようなら。
次会うときは地獄で会いましょう。
その時は昔のように腰に手を回して、今度こそ手放したりしないで。
きっとそこには私と貴方だけだから。