痴話喧嘩


「お、新しいの買ったの?」

「あら、いい色じゃないの」

新作のグロスを付ければ、すぐに気づいてくれるのはMr.とマグ姉。
本当だったらトガちゃんもなんだけど、今日は不在らしい。
他の男共はグロスのグの字も知らないだろうし

「何がいいんだ、そんなの」

ほら、弔はこういうデリカシーの無いことを言う。

「可愛いじゃん。ほら」

綺麗に色付いた唇を見せれば

「天ぷら食った後みたい」

こういうことを言ってくる。
「確かに」なんて喉を鳴らしながら笑う継ぎ接ぎの奴もいるし、折角の可愛いが台無しだ。

「ガキにはわかんないのよ、気にしないで。あら、香り付きなのね」

「そうなの…!いい匂いでしょ」

単純な私はマグ姉の一言で機嫌が治ってしまう。
横から伸びてきた荼毘の手が、グロスを手に取った。
「ふーん」なんて言いながらも、クルクルと眺めている。
それがなんだか嬉しくて、弔の目の前に立つと彼に唇を突き出した。

「弔的に見た目が微妙でも、匂いはいいんだよ」

ゲーム画面から目を逸らした弔が、こちらを見たと同時にキスした。
生々しい音を立てて離れた唇。

「な、なんで…!匂い嗅ぐだけ…」

目を見開いてそう言えば、目の前の彼がどんどん赤くなってきた。

「ばっ、馬鹿かよ!どう見ても今のはせがんでただろ!」

「なっ!勝手にそっちが勘違いしてきたんでしょ!!」

「紛らわしいことするなよ!」

「なんで私のせいにすんのよ!」


「うるせぇな、また始まったよ」

「若いっていいね、荼毘」

「なんだよ、Mr.羨ましいのか」

「羨ましい所じゃないだろ。俺なら舌まで入れてる」

「……あっそ」