連合学園 2

【悩みが多い迫先生】

たまたまだった。
告白されるな、とかそんな空気一切なかった。
仲のいいクラスメイトだと思っていたし、異性とも意識してなかった。
好きなんだ、と言い終わる頃に初めて気付いたのだ。
瞬きを数回して、なんでこんなことになったんだと頭で処理していく。
シーンと静まり帰る廊下の踊り場には、もう他の生徒はいない。
うっかり聞き逃した予鈴はとっくのとうに鳴ってしまったらしい。

「あー…えっと、とりあえず教室戻らない…?」

やっとの思いで出た返事は、自分でもありえないと思った。

「いや…今返事聞きたい…」

ほら、やっぱり。
彼の反応は正しいと頭の中で頷きつつ、次の無難な応えを考える。
振る方が労力がいるものだと考える私には、この時間は苦痛でしかない。
派手に振るなんてできない私は、八方美人だと言われても仕方がない。

「おい、授業始まってんぞ」

階段を登ってきた人の声で、2人の肩が跳ね上がった。
ひょこりと顔を出したのは、迫先生だった。

「授業サボって告白も青春だからとやかく言いたくないけどさ、しつこいのは良くねぇなぁ〜」

そう言われた男子生徒は、見る見るうちに真っ赤になってしまった。
何か言いたそうに口元を動かしたが、私と目が合うとさっさとその場を後にした。

ほっとした私の横を先生が歩くと、「お前もさっさと行く」と頭を小突いた。

「…ありがと、先生」

「いや、それほどでも。おじゃま虫じゃなくて良かったよ」

「……ごめん、なさい」

「ん?何が」

「ちゃんと断れなくて…」

「いや、いいんじゃねぇの。あと半年は一緒に生活して行かなきゃいけない、大事なクラスメイトだろ?相手のこと考えつつ、曖昧に流すのも大事だよなぁ〜。相手も自分も傷つかなくて丸く収まるもんなぁ」

なんて、トゲのある言い方。
こちらを見ようともしない先生を見て、足を止める。
それに気づいた先生も足を止め、私の方へと振り向いた。

「……嘘だって、意地悪したかっただけ」

そう言ってニッコリ笑うから、安心して私も微笑んだ。

「そもそも俺があんなクソガキに劣ると思うか?」

「いいえ」

「だよな。お前は俺に惚れてんだろ?」

自信満々な先生の問いに、間髪入れず頷いた。

「それならよろしい」

私の頭を大きな手が優しく撫でた。
心地よくて目を閉じかければ、先生の指先が私の頬を抓った。

「分かったんなら授業いけよ」

「はーい」

ニヤける頬を抑えつつ、教室に戻る私。
その後ろで大きなため息をつく先生の姿を、私は知らない。