連合学園 3

【死柄木先輩はいつもちょっかいを出してくる】

何故か死柄木先輩は私を見るとちょっかい出してくる。
自販機に小銭を入れた後、私が押す前に押してしまうし。

「え」

「ラッキー。ごちそうさま」

なんて言って、そのままどこかに行ってしまう。
もちろん小銭は帰ってこないし、後日奢ってくれるなんてことも無い。

赤点の私が教室で補習を受けていれば、廊下から見た先輩が大きな声でバカにすることもあった。

「は?お前もしかして赤点なの?」

「せ、先輩っ!シー!うるさいですって!」

「いつも間抜けな顔してると思ったら、頭も間抜けなのかよ。恥ずかし」

「シー!シーー!!」

隣を歩くのは怖いと噂の荼毘先輩。
覗き込んだ荼毘先輩に、アイツだと指までさす始末。
ヒラヒラと真顔で手を振る荼毘先輩に、気まずい私はそっと目を逸らす。
視線が痛くてチラリと見れば、未だ手を振る荼毘先輩と、心底機嫌が悪そうな死柄木先輩。
もちろん先生には私が怒られてしまったし、補習のプリントが増えたのは言うまでもない。

死柄木先輩にはしばらく会いたくないからと、仲の良い死柄木ファンに情報を貰うことにした。
ついでに荼毘先輩の名前を出せば、敵意むき出しの瞳で睨まれた。

先輩と合わない生活はすこぶる調子が良かった。
彼らが通らない中庭への階段を降りて自販機へと向かう途中、女の子の声が聞こえた。
会話の流れ的に告白のようで足を止めたが、誰と誰が話しているのか酷く気になった。
こんな所、先輩どころか友人にも見せられないが、興味の方が勝ってしまった。

「……だから、好きなの、」

震える声で女の子が話しているのを、ゴクリと唾を飲んで聞き入る。
相手の男子の声は全く聞こえなくて、なんて酷い男なんだと覗き込んだ瞬間。
しゃがみ込んだ私の視界を覆う影に、心臓がドキリと脈打った。

「なんだよ。わざわざお前から会いに来てくれたのか」

聞き覚えのある声がして恐る恐る顔をあげれば、案の定死柄木先輩。

「ひっ!」

悲鳴になれなかった声を発する私を見て、彼がニッコリと笑うが不気味すぎる。

「俺こいつしか興味ないんだ」

冷たく思いトーンで言い放たれた言葉に、女の子は走って逃げてしまった。

「す、すすす、すみま、せんでした…」

「何が」

「盗、み聞き…とか…」

「別に。むしろ好都合」

「……へ?」

「さっき言ったろ。お前にしか興味がないんだよ」

意地悪く言う先輩を目の前にして、何も言えなくなってしまった。