「あぁ、死柄木?悪いね、頼み聞いてもらっちゃって……大丈夫そうだよ、ガリガリに痩せちまってるけどね」
意識が遠くなる瞬間、大好きな彼の声と匂い、それと心地のいいトントンと叩く暖かい手。
帰りを待っていたはずなのに、寝たくなんてないのに、どんどん瞼が重くなっていく。
何度も繰り返される瞬きの間に映し出されたのは、誰かと電話する彼の姿。
「やっと寝ましたね」
「……みたいだね。トガちゃん悪かったね、お守りさせて」
「いえ、私が心配だっただけですから」
そうトガちゃんから聞いたのは彼女の事だった。
俺の腕が無くなったと聞いてから今まで、まともに食事も睡眠も取らずに帰りを待っていたらしい。
泣くことも喚くこともなく、ただじっとスマホを握りしめる姿を想像して、俺だけじゃなくトガちゃんでさえ何度も顔を顰めそうになったようだ。
「赤ちゃんみたいに寝てますね」
「はは、寝かしつけは得意だから」
そういって彼女の目尻を撫でれば、うっすらと指を濡らした涙。
相当無理してたんだな、なんてお世辞でも健康的とは言えない彼女を眺めてため息をおとした。
「……心配かけてごめんな」
起きたら、そうだな。彼女の好きなラーメンでも食べに行こう。
いや、その前に情緒が不安定になった彼女を宥めるのが先か。言葉になんて出せないが、こんなに思われるっていうのも悪くないな…なんて。