仮面を抱いて

感動の再会を想像していたのに、彼女は俺の仮面を被っていた。

「あ、それ一番お気に入りのやつ。持っててくれたんだ、ありがとね」

そういえばあの時着けていたっけ…なんて思い出したら脇腹が痛む気がする。
暫くはトラウマになっちまいそうだと、苦笑いが零れた。
それでもこうして彼女の元へと帰ってこれたことは奇跡だ。それなのに、肝心の彼女は未だに顔を見せてはくれない。

「どうした?ソレ、そんなに気に入った?」

そう声をかければ、彼女は黙って頷くから俺も黙った。
よく見れば肩は不規則に跳ねて、シワになりそうな程強く掴まれたスカートの裾を見てため息が零れた。

「……ごめんな」

「…、っ……」

「寂しい思いさせたね」

「…ぅぅ、っ……」

仮面の下で彼女は泣いていた。
きっと肌身離さず持っていたであろう仮面は、真新しかったはずなのに少し汚れて見える。

「外してもいい?」

「っ、だめ……」

「ん。じゃぁ抱きしめていい?」

「っ、うん、」

こくこくと何度も頷く彼女を、強く抱き締めた。
お互いの寂しさを埋めるよう、何度も。
彼女が苦しそうな声をあげても、塞がったはずの傷が傷んでも。

「もういい加減外さねぇ?」

「だめ。涙と鼻水でびしょびしょだもん」

「いいよ、そんなの。それより安心させてよ、お前の顔見たら痛みも何も吹っ飛んじまうからさ」