生理と手当と素数と

ソファで丸まって寝る彼女にコートをかけてやった。

「……ん、」

「悪いね、起こしちゃった?」

目を開けた彼女がふにゃりと力なく笑った。

「どう?痛む?」

ずり落ちそうなコートを再び手に取って、彼女を包んだ。
ありがとう、そういった彼女が眠そうに瞬きを繰り返す。
そっと彼女の下腹部へと手を添えれば、暖かい彼女の手がその上から重なった。

「んー…痛い、かな」

「無理しなくていいのに。ほら、これ」

差し出したのは彼女がよく飲んでいる頭痛薬。
数分前トガちゃんから受け取ったものだった。

「最後に飲んだのはいつ頃?6時間ぐらい開けてれば飲めるはずだよ」

やけに詳しいのは、彼女が毎月こうして苦しんでいるから。
お陰で彼女よりも日付には敏感になってしまったし、対応だって慣れたもんだ。
常温の水を差し出せば、彼女が薬を飲み込んだ。

「少しだけ横にいて、?」

珍しく甘えん坊な彼女に微笑むと頷いた。

「ねぇ、いつものやって」

「ん?ああ、“手当て”ね」

彼女のお腹に手を当てて、ゆっくりと撫でてやる。
いつだったかウンチク付きの手当てをしてやって、彼女が喜んだのを思い出した。
思い出し笑いする俺を見て、彼女も笑った。

「今日は無いの?おじさんくさいウンチク」

「だからさ、くさいっつーのは余計だっての」

「ふふふ、ごめん。……ねぇ、あつひろさん」

「どうした?」

「ちゅーして」

「ん、いいよ」

可愛らしいリップ音付きのキスを一つ。
離れれば、目を瞑ったままの彼女が「もう1回」そう呟いた。
再びキスを落とし離れようとすれば、首元のシャツを掴んだ彼女が引き寄せた。

「、ちょ」

「だってしたいんだもん、ちゅー」

ふにゃりと笑った彼女が、上目遣いで見つめる。
大きなため息をついて、ソファにもたれて天井を見上げる。

「、はぁ〜〜〜・・・」

「?あつひろさん」

「しっ。黙って今邪念を払ってるから」

「じゃねん?なにそれ」

「いいから。ちょっと待っててな」

深呼吸を繰り返し、素数を数え始める。

「43…47……5..3...えーっと……」

「……あつひろさん、ねぇ、」

「んん?ごめん、どうした?」

「生理終わったらいっぱいしようね…?」

「ん゙ん゙んっ!あ゙ぁっ、もお!!」