女子高生

「マジシャンてさ、肉体改造してると思うんだよね」

コーラをストローで一気飲みした後、真面目な顔の彼女が呟いた。

「…なにそれ」

しなしなのポテトを口に運びながら答えた。
カリカリのやつもいいけど、たまにあるこのしなしなしたやつが好きなんだよなぁ。

「だってさ、指先とか手のひらから火とか、水とか出るじゃん?あれって個性じゃないでしょ?」

また不思議なことを言い出したこの子。
目の前にエンターテイナーがいるのに、そんなこと言うか?
ほんとに面白い子だなぁと、ソースの蓋を開けてナゲットを頬張った。
いつもはマスタードだけど、彼女が頼むBBQソースを付けた。
懐かしい味に、たまにはBBQもありだと思う。

「血管に管入れるか…いや、肌に溶ける管を腕に埋め込めば出来るよね…」

ブツブツ言い出した彼女が真剣に考えだしたのを、半笑いで見つめる俺。
普段は頭のいい子なんだけど、たまにこうやって妄想が想像を追い抜いて暴走してしまうことが多々ある。
体の中を火を噴く燃料が流れたら、死んでしまうに決まってるだろうとツッコミを我慢する。
彼女が答えを出すまで黙って待つのだ。
思考を邪魔すればそれはそれはめんどくさいほど拗ねてしまう。

(あと10分…ってとこかな)

黙って席を立ってカウンターに立つ。
注文した商品を受け取ると席に戻った。

「あ!新商品!飲ませてー!」

思ったよりも早い彼女の切り替えだった。

「はい。それで?答えは出た?」

「無理、答えは出なかった!だから試しにマジック買ってみようと思うんだよね!」

「ははは、ウケる。その前に俺に聞いてみようとか思わなかった?」

「……そうじゃん!あつひろさんマジシャンじゃん!もぉ、早く言ってよぉ!」

彼女から受け取った抹茶シェイクをズズズと音を立てて吸い込む。

「あつひろさんマックシェイク似合うね」

「あら、そう?たまにはいいね、甘ったるいの」

向けられたスマホに気付き、少し角度を付けて座り直す。

「ど?かっこよく撮れた?」

「ん!映え」

こんな俺、絶対仲間には見せらんねぇな。
毎回そう思う。