あれから1ヶ月ほど火傷の男は顔を見せなくなった。
やっと変な男から解放されたと喜んで居たのに、なんだか寂しい気持ちになった。
なんでこんな気持ちになっているのだろうと、仕事にも身が入らない。
ボーッと、ひたすら商品を棚に並べて行く。
「すいません」
ハッとしてレジを覗けばお客さんが立っていた。
謝りながら手早く商品をスキャンしてお金を受け取る。
テープを貼り付けたフリスクを手渡して頭を下げた。
しばらくして顔を上げれば、まだ目の前に立つ男の姿。
ハッとして顔を上げれば、鼻が付きそうなぐらい視界いっぱいに広がる仮面。
ゾッとして後ろに下がれば、仮面を付けた男は面白そうに笑っている。
「ごめんごめん」
そう言われ、忘れかけた呼吸を取り戻した。
「なぁ、君が荼毘のオキニちゃん?」
「……だ、び?」
やっとの思いでひねり出した声はなんとも間抜けだった。
「あぁ、火傷のだらけの不気味な奴。知ってるでしょ?」
コクコクと頷けば何故か満足気だ。
「ふーん、君がねぇ。へぇ〜なるほどねぇ」
舐めまわすように頭の上から足先まで見つめた。
最後に彼が一緒に歩いていたのはこの人だと気付けば、背後から聞きなれた声。
「何してんだよMr.」
「お、ちょうどお前の話してたの」
おちゃらけたように私の肩に手を回した。
肩は跳ね上がり、抵抗しようにも体は動かない。
目の前の荼毘と呼ばれる彼はなんだか不機嫌そうだし、隣の仮面の男はなんだか楽しそう。
(なに、この人!表情が全く読めないんだけど)