今日は珍しく荼毘さんもMr.さんも来ない。
それはそれで暇だと欠伸をすれば、自動ドアが開いた。
フードを被った男性に、何となく違和感。
荼毘さんやMr.さんと近い雰囲気のソレに、久しぶりに心臓が鳴る。
コーヒーを片手にレジ前に来たので、慣れた手つきで接客する。
商品も渡したし、お金も受け取ったし。
それなのにこちらをじっと見るから、私もチラリと見てしまう。
カサカサの唇に、掻きむしったような首の傷。
目が合うとさすがに怖くてすぐに逸らした。
「何がいいんだ、こんなちんちくりん」
ボソリと言った言葉は私に放たれた物だった。
「ち、ちんちくりんって…!」
「お前だろ?最近アイツらからよく聞くよ」
アイツらと言われてすぐに2人の顔が思い浮かんだ。
(同じ雰囲気だもん、やっぱり仲間なんだ)
まるで漫画でも見ているかのようなニューフェイスの登場に、緊張は解れつい笑みがこぼれてしまった。
「何笑ってんだよ、気持ち悪い」
「き!気持ち悪いって、初対面で失礼です!」
「人の事見て笑うのは失礼じゃないのかよ」
思ったよりもまともな返しにビックリしてしまった。
「…まともなんですね」
「アイツらと一緒にするな」
それも失礼じゃないかと思ったが、荼毘さんに関しては納得してしまった。
「何となくアイツらが気に入るのがわかったよ…じゃぁな」
そう言って出ていってしまった。
彼の名前が弔さんと知るのは、3回目の来店の時だった。