コンビニ店員と 番外編 3

「おい、ちんちくりん、早くしろ」

振り向けばレジに突っ立ってる男の人。
名前も知らないその人は、荼毘さんたちの仲間ではあるのだろうけど”まともで失礼“な人だ。

「ちんちくりんじゃありません。はい、130円です」

お金と引き換えに、コーヒーを手渡した。
いつもこの人コーヒーだ。
それ以外を買っていった所を見たことも無いし、他の商品を見ている所も見たことがない。

(あ、そう言えば…)

コーヒーのタダ券をポッケから取り出し、彼に差し出した。

「これ良かったら使ってください」

「……。」

「私コーヒー飲めないので…あ、要りませんでした?」

「…あぁ。貰っとく」

なんか反応がおかしくてチラリと見れば、困ったような、照れたような不思議な表情だった。

「どうかしました?」

「っ…別になんでもない」

そう言って出ていってしまった。

次の日またコーヒーを片手にレジに立つ彼の姿。
いつものようにコーヒーを片手に持ったかと思えば、お菓子コーナーからデザートコーナーにゆっくりと回り始めた。
珍しいこともあるんだとしばらく見つめていれば、こちらに気づいた彼が顎をクイッと動かした。
何となくこちらに来いと呼ばれてる気がして、デザートコーナーに立つ彼の横に並んだ。

「お前のオススメは?」

「オススメ、ですか…?えっと、この新作とか。結構皆さん買っていきますし…でも私的にはこれが好きです。昨日も買って帰りました」

つい熱くなって話し込んでしまった自分にハッとした。

「ふーん…」

私がオススメしたデザートを手に取るとレジに歩き始めた。

(この人もたまには甘いものを食べるんだ…)

新たな一面になんだか嬉しくなりながらお会計を済ませる。袋に詰めようとすれば、コーヒーだけ手に取る彼。

「?これ忘れてますよ」

「それはお前の」

「へ?」

「昨日のお礼。お前それ好きなんだろ?」

いきなりのサプライズになんだか恥ずかしくなってしまった。

「あ、ありがとうございます」

「あー……そうだよな…」

ポリポリと首を掻く彼がボソリと呟いた。

「???」

「言う機会がなかなか無くて、昨日はその言葉が出てこなかったよ……こちらこそありがとう」

「…やっぱりお兄さんはまともな人ですね」

「お兄さんじゃない。弔」

「とむら、さん?」

「…なんでもいい」

「ふふふ、弔さん、また来てくださいね」

少し照れくさそうに目をそらすと店を後にした。