「弔さん、髪の毛伸びましたね」
まるでアニメのキャラのような前髪の長さに、私がうっとおしさを感じてしまいそうだ。
怒られるから絶対に口には出さないが…。
ちょうど眉間の間の毛束を掴み、見上げた。
より目になって自分の髪の毛を見上げる姿が思ったよりも可愛らしくて、見つめてしまう。
「確かに伸びたかもな…でも切るのも面倒だし」
ハラりと落ちていく前髪が、せっかく覗かせた目元を再び隠す。
「…もったいない」
つい心の声が出てしまってハッとする。
意味が分からないような表情の弔さん。
「それじゃぁ…!切りたくないならこうしたら…」
伸ばした指先が彼のおでこに少し触れれば、驚いたように後ずさる。
(あぁ、触られるのはさすがに嫌だ、よね…)
伸ばした指先を引っ込めようとすれば、ぐいと私の目線に合うように頭を下げた。
「…びっくりするだろ、やる前に言えよ」
目を逸らしながら照れたように言う弔さん。
前髪を優しく横に流して、指先で抑える。
「ほらやっぱり!弔さん顔が綺麗だから見えるようにした方がいいですって!」
「…変なやつ。男に綺麗だとか普通言わないだろ」
そう言いながらも手ぐしで軽く流された前髪を直そうとしない彼に笑みが零れた。