自動ドアの音が店内に鳴り響き、お菓子コーナーからひょこりと顔を覗かせた。
「いらっしゃいま…こんばんは」
珍しく三人が一緒に来るなんて。
先頭でヒラヒラとこちらに手を振るMr.さんに、こちらをじっと見つめる弔さん。
だるそうに欠伸をし終わった荼毘さんが言った。
「今日の廃棄は?腹減って死にそう」
カゴに集められた廃棄のお弁当やおにぎりを物色し出す彼ら。
「…監視カメラあるんだから辞めてくださいよ」
迷惑そうに言ったところでこの人達には届かない。
それでも雇われてるのは私だし、問題だけは起こさないでくれと毎回思っている。
「あ〜、そこらへんは大丈夫。壊しておいたから」
「え?」
「いいや?こっちの話」
「?…というか、先輩も最近休みがちだし…店長が見に来たら困るんですけど」
「どっちも一生来ねぇよ」
「シィ!荼毘!」
「え、ぇ?」
「そんなことどうでもいいから早くコレ温めてくれよ」
そう言って弔さんが廃棄のお弁当を差し出してきた。
「冷たい米は苦手なんだよ…」
「あ、はい…なんか機嫌悪いですね」
「そう見えるなら早くしろって」
そう言ってボリボリと首元を掻きむしる。
勝手に廃棄を漁りに来ておいて、早く出せだの温めろだの。
自由で自分勝手な彼らに、さすがの私も少しづつ苛立ちが増えていく。
「ごめんなぁ、うちのボスお腹空くと機嫌悪くなっちゃうクソガキなんだわ。許してやって」
お気に入りのいつものおにぎりを食べながら、Mr.さんは言う。
「なぁ、まだ?」
「あ、荼毘もだわ。腹空かせたクソガキ2人。うるせぇ時は飴ちゃんかラムネでも渡してやって」
自分だけ腹が満たされたのか、いつも通りの口調で茶化すように言った彼。
「は?フリスクばっか食って口臭気にしてるおっさんよりマシだろ」
「は?」
「おじさんおじさん言って偉そうにしてんなよおっさん」
「お前らなぁ…そういうのがガキなんだって」
「さっきからうるせぇな」
バンッ!!
山積みにされた雑誌を思いっきり床へと叩きつけた。
「うるさいです……喧嘩するなら出ていってください」
「「「……。」」」
「怖いし、不気味だし、図々しいし、失礼だし、距離感近いし!!勝手に来てわがままばっかり言って今度喧嘩ですか!?いい加減にしてください!!あと弔さん!醤油は外してからチンしないと爆発するってこの間も言いましたよね!!」
ビクリと肩を揺らした弔さんと、同じように目を見開いてこちらを見る2人。
(……やってしまった…ど、どうしよう…私殺されちゃうのかな…)
気まずすぎて目を逸らして、手元の雑誌の作業を始めた。
「わ、わかった、ごめんな?おじさん達が悪かったわ」
「…喧嘩するほど仲がいいって言うだろ…?…なぁ?」
「はぁ?離せって」
「ほら、荼毘!大人しくしろって」
「チッ……じゃれてるだけだろ?マジになんなよ」
「もうお前は黙ってろ!」
そう言って荼毘さんは一瞬でMr.さんに圧縮されてしまった。
Mr.さんと弔さんは逃げるようにコンビニを後にした。
「……あー、お腹減った。私もお腹減るとダメなタイプだわ」
独り言を呟いて、紐解かれた雑誌を棚に並べた。
後日、駅前に出来た少し高めの洋菓子店の紙袋と共に来店した荼毘さん。
無愛想なカタコトで「オサワガセシマシタ」と言った顔は何だか納得していないような表情。
差し出されたお菓子を受け取り、彼をみれば胸元には「代表者」と書かれた紙切れが貼られていた。