「これあんま上手くねぇわ」
「お、それなら交換しよ」
「ん。こっちのほうが上手いわ」
「だろ?だから言ったじゃん、荼毘センスねぇんだって」
「弁当にセンスもクソもねぇだろ」
「いや大事だって、腹減って弁当買って不味かったらショックだろ?」
「…そもそも自分で買ってませんよね?」
「お!ナイスツッコミ〜さすが店員さん」
ついツッコミをしてしまった私の嫌味は、当たり前のように彼らには効いていない。
そんな彼らは前回の件で懲りることなく、こうして廃棄を漁りに来てるのだ。
しかもイートインコーナーで、気になった弁当を片っ端から。
荼毘さん曰く「どうせ捨てるんだからどんな食い方してもいいだろ」らしい。
Mr.さんでさえ頷いていたし、この人達にモラルは無いのだ。
とかいう私も廃棄になったお高いスイーツは持って帰ったりしてるし、お腹がすいた時は唐揚げを多めに揚げて裏で食べてたりするのだからホントは何も言えない。
そして彼らはそんな悪い私を知らないのだ。
どうせ注意しても聞かないのだから、自分の業務に戻ろう。
そう思い陳列棚を整理し始めた。
「ん?お、懐かしいの食ってんじゃん」
「…しらねぇ。初めて食ったわ」
「お前駄菓子知らないの?…どんな幼少時代過ごしたんだよ」
「話してやろうか?」
「いや、ごめん。長くなりそうだし、飯不味くなりそうだからやめとくわ」
(荼毘さんの過去気になるなぁ…)
こっそりと聞き耳立ててる私はあることに気づいて彼らの元へと早足で向かった。
「〜〜〜っ!!やっぱり!なんで駄菓子食べてるんですか!?それは廃棄じゃないでしょ!?」
荼毘さんに詰めよれば、いつの間にかイートインコーナーから離れていたMr.さんがこちらにきた。
「ん?」
プシュ、と勢い良い音を立てた手元の缶ビール。
「……。」
空いた口は塞がらない。
そんなこと気にせず駄菓子の蒲焼を咥えながら、長い足を折り込んで回転する椅子に座るとくるくる回り出した。
「それも懐かしいじゃん」
そう言って一緒になってくるくる回り出した大人達。
この人たちほんとに何者なのだと考えさせられる。
黙っていれば怪しいし怖いし、出来れば人生の中で絶対関わりたくない人種なのに…。
怒る気力も無くなってしまい、ただただ回る2人を見届けた。
突然ピタリと止まる荼毘さん。
「あー…ダメだ。気持ち悪ぃ」
「お前ほんとに三半規管弱いな」
ケタケタバカにしたように笑う1番年上の大人は、減速することなく未だに回っている。