(今がチャンス!)
ジャンプを立ち読みしていたお客さんが、駐車場から出ていったのを見送ってトイレに走った。
(どんだけゆっくり読んでんの!そんなに読みたいなら買ってよぉ)
ギリギリ間に合ったトイレに安堵のため息。
すると店内にはお客さんが来たことを知らせる効果音が。
慌ててトイレから出ようとするが、女性は色々と時間がかかるのだ。
手をサッと洗って扉を開けば、ちょうど出ていくお客さん。
なんだかキョロキョロと落ち着きがないようだけど、手にはコンビニ袋…あれ?
そして
「ありがとうございました〜」
店内に響いた男性の声。
「…!?」
レジの方へと覗き込めば、見慣れた男の姿。
「Mr.さん!?」
「よっ!いなかったからレジやっておいたよ〜」
「え、あ、ありがとうございま…す…?」
まるで店長かのような態度に、危うく流させそうになる私。
「助かりました、けど!ダメです!勝手にレジ入っちゃ!」
「えー?金とってないよ?」
「そ、それでもダメです!」
「あそ?でも俺で良かったねぇ〜荼毘だったら客ごと燃やされたって」
「…もやす?」
「いや、こっちの話」
「?」
「死柄木だったら受け取った商品ごと粉々ぁ〜」
「こ、こなごな?」
「ははは、冗談」
何を言ってるのかイマイチわからないが、とりあえずカウンターから出てくれと彼の背中を押す。
「お!」
なかなか退かないMr.さんが、何を見つけて外を指さす。
こちらを歩いてくる荼毘さんの姿だ。
「ちょーっと、隠れててな」
そういって私をフライヤー室に閉じ込めた彼。
「いらっしゃいませ〜」
「…なんでお前がいるんだよMr.」
「なんのことでしょう?お客様」
「めんどくせぇ」
「何?荼毘、俺じゃ不満?誰に逢いに来たんだよ〜」
「……チッ」
「あーぁ……不貞腐れて帰っちゃったよ」
しばらくして開けられたフライヤー室のドア。
「あれ?荼毘さんは?」
「んー?帰っちゃった。こんなことで怒るの可愛いなぁ、アイツ」
「はぁ…?」
「次さ、荼毘来たらたくさん構ってやって」
「??は、はい…」
なんだか楽しそうに鼻歌を歌ったMr.さんは、今日も何を考えているのかよく分からない。