時間です

【21時×切島鋭児郎】

毎日欠かせないのは、彼氏の鋭児郎へのおやすみ電話。
この時間ぐらいはどこにでもいる、ごく普通の恋人同士。

「あ、もしもし?鋭児郎」

「おぉ、遅かったな」

「ごめんね、お風呂の後お茶子ちゃんと話し込んじゃってさ」

「そっか!ならしょうがねぇな…なんかあったのかと思ってたからさ」

いつになく心配する鋭児郎に違和感を感じる。

「うん?…鋭児郎、なんかあった?」

「いや…なんも?」

明るく誤魔化そうとしているけど、何かを隠してることはバレバレだった。
しつこく問ただせば電話越しの彼が渋々話し出した。

「だせぇ、とか思うかもしれねぇよ?」

「ないない!鋭児郎にそんなこと思わないって!」

「…実はさ」

どうやら2人のクラスメイトが、最近の私について語っていたらしい。
可愛いとか綺麗とか、段々とエスカレートして行く話題に、さすが男子高校生だと納得してしまった。
それを聞いていた鋭児郎は、彼氏の立場としていたたまれなかったらしい。
確かに同じクラスの男子にエロいだのヤリたいだのと、影で噂されていたかと思うと鳥肌が立った。

「でもさ、前よりエロくなったって…鋭児郎のせいでもあるよね?」

「は、なん…で……っ!」

なにか思い当たることがあったのだろう。
暫くして小さな声で「…わりぃ」と呟くから、電話越しに頭を下げる姿を想像して笑ってしまった。

「電話でよかったわ…」

「?」

「目の前にお前いたら押し倒しちまう」

突然そんなこと言うから、私の方が赤くなってしまった。

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【22時×上鳴電気】

ワイワイ騒いでた透ちゃんや、楽器いじってたであろう耳郎ちゃんが、見回りの先生が来たのかピタリと静かになった。
今頃、他の階でも先生達が見回りをしている頃なのだろう。
布団を被ってスマホを開き、彼にメッセを送れば直ぐに返事が返ってきた。
【もう平気そう】
それを確認すれば、静かに電気の部屋へと向かった。
ノックもしないでそのまま入るのは、彼と私が恋仲であるからだ。

「毎回ドキドキする〜」

「な!バレたらやばいもんな」

本当に誰にもバレていないかと言われたら、薄々この関係に気付いている人間はいるだろう。
それでもバレるかバレないかのギリギリが、とてつもなくイケナイことしてる気がして楽しかった。

ドキドキ感にたちまちテンションが上がる私たち。
大きな声で話せないのも、馬鹿みたいに笑えないこの状況も。
すべてが楽しくて、次第に声は大きくなってしまうからお互いの口を手で覆った。
それさえも面白くてクスクスと笑った私に、そっと彼が顔を近付ける。
まだキスにも慣れていない私が咄嗟に顔を降ろせば、それをさせないように両頬を大きな手が包み込んだ。
数秒見つめあったあと、真剣な彼が距離を縮めるから目を閉じた。
唇が離れてゆっくり目を開ければ電気の顔。
切ないような、余裕が無いような顔で笑った。


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【23時×爆豪勝己】

私の隣の勝己くんは、おねむの時間なのかウトウトと今にも寝そうだ。

「明日お前の部屋行くわ」

そう言った勝己くんが何故突然そんなことを言い出したのか。
なんでかとカレンダーを見てハッとした。
私の誕生日だ。
いつか彼氏が出来たらと誰かに話した理想。
日付変わった瞬間に、恋人と一緒にいたいと言うのを彼はどこからか聞きつけたのだ。

布団にいたら寝ちゃうからと並んでソファに座った私達だけど、彼の体が私へとどんどんもたれ掛かる。

「勝己くん、寝ていいよ?」

「…んぁ?寝ねぇ」

「でも…。起きたらおめでとうしてよ。だから一緒に寝よう?」

「やだ…くぁぁ」

遂には我慢してた欠伸まで出てきた。
それでも頑なに寝ないと言い張る勝己くんが愛おしくて、頬っぺにキスを落とした。
頬に触れたと同時に、パチッと開いた彼の目に少しだけびっくりした。

「今ので目ぇ覚めたわ」

伸びてきた右腕は腰を掴んで、左手は服の中へ。
スルスルと下着の上から触られる行為に身をよじった。

「い、今から!?」

「誕生日までには終わらせる」

「うそ、あと30分しかないよ!」

「3回ぐらいはイかせられんだろ」

「やっ!そんな迎え方やだっ」

「諦めろ。前祝ってことにしとけ」

そう言って覆いかぶさった。

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【0時×ホークス】

コンコンと窓が鳴る。
カーメンを開ければ、真っ赤な大きな翼で宙に浮く彼の姿があった。

「こんばんわ」

あどけない笑顔にこちらまでつられそうだ。

「空のお散歩の時間ですよ、お姫様」

そんなふざけたようなデートの誘いに、なんだかんだいつも頷いてその手を取ってしまう。

「今日はどこに連れていってくれるの?爺や」

「いや、そこは王子様やて」

さすがNo.2、ツッコミの速度まで最速だ。

「うーん、そんな意地悪なお姫様はどこに連れて行ったら満足してくれるんですかね?」

「そうね、この世界が私のものであると思えるような所かしら」

そういえばお互い吹き出して笑った。

連れてこられたのは、世界一高いと言われている塔の上。

「…綺麗」

落ちないようにと腰に回された手に、私は彼の肩へと手をかけて目の前の景色に夢中になった。

「ねぇ、ホークス?」

「なんです?」

「なんでいつもこの時間なの?昼間は昼間の女でもいるの?」

「まぁた!そうやってひねくれるのはあなたの悪い所たい」

風で乱れた髪の毛を、彼の指がそっと耳に掛ける。

「一日の一番最初に貴女の目に映るのは俺がいいんです。俺じゃなきゃダメなんです。いくら鈍感なお姫様でも…ここまで言えばわかるでしょ?」

そう言って耳元にキスを落とした。

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【1時×迫圧紘】

コツコツとマンションの廊下を歩く音が聞こえる。
読みかけの本を閉じると、枕元の照明を消して布団に潜り込んだ。
暫くして「ただいま」と、彼の声が静まり返る部屋に響く。
毎日1分も狂うことなくこの時間に帰ってくる彼が、一体外で何をしているのか薄々気づいているが、今の関係を崩したくない私は知らないふりを繰り返す。

布団から少し覗いた私の頭を優しく撫でる。

「いつも遅くまで待っててくれてありがとうね」

いつもと違う台詞にガバっと飛び起きた。

「おぉ、びっくりした」

「起きてるの知ってたの!?」

「ん?あぁ、知ってたよ。だいぶ前から」

ニコリと笑う彼に恥ずかしくて悔しくなった。

「それなら言ってくれたら良かったのに!」

「んー?だって寝たフリとか可愛いことするだろ?意地悪したくなっちゃったんだって」

立ち上がり、コートやスーツをハンガーに掛けながら話す彼の背中を睨みつける。

「シャワー浴びるからまだ起きててくれる?」

寝てていいよでも無ければ、起きてる?でも無い彼の聞き方はズルい。

「…うん、待ってる」

「あ、あとさ」

「?」

「寝てるフリより、起きてただいまって言ってくれる方が俺は嬉しいんだけど」

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【2時×死柄木弔】

夜中に尿意で目が覚めて、デジタル時計を見れば2:22。
ゾロ目って賭け事以外で見ると案外不気味だ。
大抵こんな時に目が覚めたら、その後はなかなか眠れないのだ。
余計なことを色々と考え出したら、何だか怖くなってきた。
トガちゃんに着いてきて貰おう。
いや、彼女は確か雄英の林間学校に遊び行ってるんだっけ。
きっと帰ってくるのは朝だろうが、流石にそこまで我慢はできなさそうだ。

太ももを擦り寄せながら、どうにかトイレの前まで来ることが出来たが、扉を開けば目の前に人影が。
ビクッ!!
咄嗟に股間を抑えてしゃがみこんでしまった。

「…何してるんだよ」

声を聞いて誰だかすぐに分かった。

「バカ弔っ」

涙目でしゃがみこむ私を彼は呆れたように見下ろした。

「バカはどっちだ」

差し出された手を握ればゆっくりと立ち上がらせてくれた。

「それで?何してんだって」

「…っこ…」

「なに?ハッキリ喋れよ」

「お、おしっこ!時計みたらちょうど2:22だしなんだか怖くなって我慢してたらもう出そうなの!!」

一気に捲し立てれば彼の大きな大きなため息。
どうせその後はバカにしたように笑うと思っていたのに、彼は私の手を取って「一緒に行けば怖くないだろ」そう言った。

トイレも終わって、ご丁寧に部屋までしっかり送ってくれた。弔にしては優しいと素直にお礼を告げようとすれば、彼が時計を指さした。

「2時半ってさ丑三つ時って言うんだぜ?」

ニヤリと笑った彼の腕を取って、布団の中へと引きずりこんだ。

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【3時×荼毘】

スマホ片手に横になればそのまま寝落ちしてしまったようだ。
モゾモゾと何かが布団の中へと侵入してくる。
服から伝わる冷たさに徐々に目は覚めていく。

「つ、めた…」

「起こしちまったか?」

「…っ!ちょっ、と!冷たいって!」

起こしたかと心配する奴が、洋服の中に手を突っ込んで来るわけがない。
下着を身につけていない胸に手を添えて、やわやわと揉み始める。

「はぁー…あったけぇ」

「私で暖取らないでよっ…自分の個性で暖まればいいのに」

「はぁ?俺が燃えカスになってもいいのかよ。それに、こうした方が誰かさんは喜ぶからなァ」

きっと表情はスケベ顔で笑っているのだろう。
時計に目を移せば短い針は3を指している。
この時間から荼毘の相手をすれば、また寝不足間違いなし。
ため息は出るくせに、いつの間にか私の体は熱を帯び始めている。

「ねぇ、帰ってくるならもっと早くしてよ。明日も早いんだけど」

「そんなの知らねぇよ、俺だって忙しいんだ。それとも昼間帰ってきて夜出かけようか?」

彼の提案を想像してみたら、なんとも寂しい夜が頭の中を埋めつくした。

「…やだ」

「だろ?俺も昼間帰ってきてお前がいないのはやだよ」

「…荼毘」

「ん?」

「…おかえり」

「ただいま」

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【4時×瀬呂範太】

嫌な夢を見て飛び起きた。
髪の毛は汗でへばりつき、喉は乾いて少し苦しい。
悪夢見た時は大体、もう一度寝ると続きを見てしまうものなのだ。
喉も乾いたし気持ちも落ち着かせる為に、共同スペースまで行こう。
上着を羽織り、エレベーターのボタンを押せば5階から降りてきた。
開くドアに乗り込もうとすれば、中には瀬呂が。

「びっ、くりしたぁ」

「こっちこそ。何、寝れないの?」

「んー、気持ち悪い夢見ちゃって」

乗り込んだのを確認して閉ボタンを押してくれた。

「瀬呂は?こんな時間に」

「喉乾いたし小腹空いたし。確か冷蔵庫に砂藤が作ってくれたカップケーキ残ってたなーって」

スペースに着くと、彼の分のお茶も一緒にコップに注いだ。
横から伸びてきた手にはカップケーキ。

「お前も食べる?…あ、女子はこの時間食べちゃダメなんだっけ?」

「んーん、食べる」

どこに座るか迷っていれば、自分の隣をトントンと叩いた。

「嫌な夢見たんでしょ?話、聞くよ」

本当に彼はよく気が利く。
ちゃんと女の子扱いしてくれる事に、少し恥ずかしい気持ちになった。

「怖い夢とか嫌な夢って人に話すと良いって言わねぇ?」

私が話しやすいようにそう言ってくれる。
気付けば彼の肩に寄りかかったまま寝落ちしてしまい、みんなが起きてきて騒がれるまでずっと一緒にいてくれたのだ。

꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳

【5時×相澤消太】

土曜の晩は先生に隠れてこっそり夜更かしして。
日曜は休みだからってお昼過ぎまで寝てしまった。
案の定まったく睡魔は訪れず、ただただ時間は過ぎていく。
あと2時間後には制服に腕を通して朝ごはんを食べてるなんて、想像しただけでもヤバすぎる。
もうだめだと、勢いよく飛び出して部屋を後にした。

誰にも見られないよう、起こさないように先生の部屋へと向かう。
こんなことして先生に会いに行くのは初めてだった。
バレて関係が終わってしまうのが怖くて、いつもはもっと慎重なのだ。

控えめなノック音が廊下に響く。
やっぱり寝てるかと、もう一度ノックしようとした所で扉が開いた。

「…おい、何してるんだ」

効果音で表すならゴゴゴゴゴゴ、そんな感じ。
周りを確認した後に、素早く部屋の中へと引き摺り込まれた。

「何のつもりだと聞いてる」

「ね、眠れなくて…ごめんなさい」

「こういうのは卒業まで我慢するって約束だったろ…!」

「わ、わかってる、でもどうしても寝れないし…消太さんしか頼れなくって」

そう言えば大きくて長いため息の後に、私の前髪が少しだけ揺れた。
ベッドへと入っていった先生は、布団を少しだけ捲った。

「ほら、早くしろ」

布団に入れば先生の匂いでいっぱいだし、隣には先生の温もり。
あっという間に訪れた睡魔は、質の良い一時間を提供してくれた。
1時間後には起こされ、急かすように部屋に戻れと追い出された。
再び教室で会った先生は、いつもよりクマが濃くなっていた。

꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳

【6時×緑谷出久】

いつもより少しだけ早く起きた。
カーテンから指す日差しで天気が良いのがわかる。
顔を洗って少し早めの朝食にしよう。
フレンチトーストもいいけどパンケーキもいいな。
どっちも作って余ったららみんなにも食べさせてあげよう。
そう思いながら、共同スペースに着けば冷蔵庫の扉を開けた。

「おはよう」

卵と牛乳を掴み振り向けば、デクが首からタオルをかけて立っていた。

「おはよう、トレーニング?」

「うん。何か作るの?」

「フレンチトーストとパンケーキ。どっちも食べたくて」

少し照れてそういえば、デクのお腹が音を立てて鳴った。

「ふふふ、一緒に食べる?」

「え、いいの!?」

興奮気味の少し大きな声がスペースに響いた。
恥ずかしいのを隠すように私の隣へ来た彼は、腕まくりを始めたからきっと手伝ってくれるつもりなんだろう。

「卵割ろうか?」

そう言って卵を握ったはいいが、持ち方がなんだかぎこちない。
彼の手の上から私の手を添えるように

「こう持って、優しく、そうそう…ほら、出来た」

ボウルに卵が落ちたのを見て、自分の発言がなんだかいやらしかったことに気づいた。
チラリとデクを見れば真っ赤だし、この次は何をしたらいいのかわからなくなった。

「クソナード、てめぇはいつから卵割るのがそんなに下手くそになったんだァ?」

いつの間にか立ってる爆豪に「か、かっちゃん!!」真っ赤になった彼が再び大きな声を出した。

꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳

【7時×轟焦凍】

スマホのアラーム音で目が覚めた。
部屋の扉をガチャりと開けると、向かいの部屋の扉も同時に開いた。
白と赤の髪の毛が除けば、あちらもこちらに気付いたようだ。

「おはよう」

「おはよう」

エレベーターに一緒に乗り込んで、たわいもない話をしながらスペースまで歩いた。
スペースまで着けば、轟は緑谷の元へ。
私は梅雨ちゃん達の方へ。

朝ごはんも食べ終わり締まり掛けのエレベーターへ乗り込めば、中には再び轟が。

「お、乗るか」

「ん、ありがと」

5階に着くと各自の部屋へと戻った。
制服に着替え、今日は少し早めに出て散歩でもしようと扉を開けば、本日3度目の轟焦凍の姿。

「お。」

「…また会ったね」

「あぁ、今日はよく会う日だな」

「少し早くでて散歩しながら教室行こうと思ってさ、轟は?」

「俺も同じこと考えてた…なら、一緒にどうだ?」

彼がそう言ってくれたから頷けば、優しく笑いかけられた。

「轟って、ホント雰囲気変わったよね」

「そうか?…それは良い意味だよな?」

「もちろん良い意味だよ」

「ならよかった…お前や緑谷が相手だと優しい気持ちになれる気がするんだ」

突然そんなこと言い出す彼はドが着くほど天然なのだ。
騙されるな、私。
彼はそんなつもりで言って無いし、自覚も無いのだと自分に必死に言い聞かせる。

「俺とお前、相性良いんだろうな」

そんなこと言ったらどんなに必死に違うと言い聞かせても、心は彼にトキメいてしまう……!