貴女が相手側に寝返った


【荼毘】
「あぁ、そうか。それなら心置き無く燃やせるな…」

スっと表情が一気に冷たくなった気がして、背筋が凍るようだ。
覚悟していたはずだった、こうなることを。

「ずっと想像してたんだ、好きな女が俺の炎で燃える姿。お前は他の奴と違って燃える時でも綺麗なんだろうな…どんな顔するんだ?どんな匂いだ?きっと声だって綺麗なんだろうなァ?」

そう言って目元の流血を親指で拭った。
彼から放たれる青い炎は今も昔も変わらず、とても綺麗だ。

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【死柄木弔】

「…へぇ、こんなことってあるんだな」

口角がピクピクと痙攣してつり上がっている。

「何が違った?どこが良かった?ちゃんとお前の口で教えてくれよ。そいつらと俺の違いを」

首を掻く手がピタリと止まった瞬間、空気がビリビリとして足が震える。

「……大丈夫だ。そいつらと違って俺はお前が大事だから、何があっても捨てたりしないよ。よーく、考えて…もう俺に無駄な物壊させないでくれよ?」

油断したら足が勝手に弔の方へと動いしまいそうになるのを、グッと堪えることしか今の私には出来なかった。

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【Mr.コンプレス】

「うーん、分かってけど結構ショックだな、この立場」

そう言って後ろに回した手で後頭部あたりをポリポリと掻いた。

「だから俺はお前をそっち側に送り込むのは反対だったんだよなぁ…。ちなみにこっち側に戻りたくないって言うのは本気で言ってる?それとも言わされてる?」

首を横に振って自分の意思だと、彼に必死で反抗して見せる。
そんな私を見て呆れたように大きなため息をつくと、スっと手を差し伸べた。

「この手を取ったら、いつもみたいに良い子だって撫でてやる。……それとも強引にでも攫われたいか?まだ時間はあるからゆっくり選ぶといいよ」

そう言ってるが仮面の奥の目は笑っていない。

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【トガヒミコ】

「○○ちゃん…それは本気ですか?誰かに唆されてなぁい…?それとも強要されているの…?」

そう言って首を傾げる彼女の瞳には、私しか映っていない。
瞳孔が開いて限界まで開いた瞳に、油断すれば持っていかれそうになる。

「私に我慢しなくていいと教えてくれたのはアナタでしょう?」

悲しそうに笑ったかと思えば、スっと表情が無くなった。
目線は私以外の彼らに向けられている。

「今助けるからね、○○ちゃん。大好きな出久くんも、お茶子ちゃんも許さない。私から大大大好きな人を奪ったこと、今更謝っても許さないから……死んでね」

もう私の声すら届かない。

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【トゥワイス】

「嘘だろ…?嘘だって、演技だって言ってくれよ。よく見ろ、あの顔はどっからどう見ても本気だ!」

そう言って悲しそうに辛そうに、頭を抱えている。

「トガちゃんが……また悲しんじまうんだ。お前だってあの子の悲しむ顔なんて見たくないだろ?いーや、コイツはそんなの気にしてねぇ。死柄木は俺が説得する!荼毘もコンプレスもスピナーも!誰にも文句言わせねぇよ!お前が帰ってきたら、みんな喜ぶに決まってんだろ!だから頼むよ…嘘だって言ってくれ…。」

こんなことがあっても、私の味方でいてくれるんだね。
優しいんだね。

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【爆豪勝己】

「てめぇは昔っから危なっかしぃんだよ」

下唇をグッと噛んで、何かに耐えている彼の姿を見るのは初めてだった。

「すぐどっか行っちまうし、何もねぇ所でコケるし、すぐ騙される。その度に泣いてた奴がてめぇの意思でクソヴィラン側についてるわけねぇよなぁ…!?」

信じたくないのだろうけど、これは現実で真実だと意志を込めて無言で彼を見つめる。

「今すぐ俺の名前を呼べ。いつもみてぇに助けてやる!てめぇが笑うまで、落ち着くまでそばに居てやる…!だから、ヒーローになるって言ったてめぇの夢をてめぇが壊すんじゃねぇ…!!」

声を荒らげる彼が、これっぽっちも冷静じゃないのが痛いほどわかった。

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【切島鋭児郎】

「なぁ!ちゃんと話してくれよ…!お前とは闘いたくねぇんだって」

もうこちら側に体ごと突っ込んでいる私に、そんなこと言ってしまったらヒーロー失格だよと苦笑い。
真っ直ぐなのも素直なのも、彼のいいところなはずなのに今は真っ直ぐに見えない。見たくない。

「何があってもお前のこと否定しねぇから…どんなことがあってもお前から離れねぇ!それでもダメだって言うなら、俺の事倒してからにしろよ!俺は倒れねぇ、お前の為にぜってぇ倒れねぇからな…!」

見たら揺らいでしまうから、君の瞳は見れない。

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【轟焦凍】

「…なんでお前がそっちに立ってんだ」

焦凍が表情崩すなんてこと、滅多にないから貴重だね。
でもね、ごめん。これは嘘でもドッキリでもなんでもない。

「俺が冗談通じないって、お前なら知ってんだろ。早くこっちに来い、今なら間に合う」

そう言って差し伸べられた手が、微かに震えているのはなんで?

「それでも来ねぇって言うなら力ずくでも連れ戻す。話はそれからだ。……怪我しねぇように構えろ、手加減できそうにねぇ。」

私の事になるとすぐムキになるの変わってないね…ずっと忘れないでね。

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【上鳴電気】

「え、は…?いや、その冗談笑えねぇって」

青ざめて、どうしたらいいか分からない口元がピクリと笑っているようにも見える。
こんなタチの悪い冗談、さすがの私でも言わないよ。

「ほら、嫌なことあんならさ、風呂でもみんなで入ったらさっぱりするって!俺たちは一緒に入れねぇけど、待ってるからさ…!だから、頼むよ…そんな目で見んなって…!お前がいないのとか想像すんの怖ぇんだわ。居なくなんなよ……」

そう言ってくれるならお願い…最後まで目を逸らさないで。