ドンキに行きました

【緑谷出久×アダルトコーナ】

「ん?あれ?急に雰囲気変わったね」

「え、あ、そうだ、ね」

「ドンキって迷路みたいで迷子になる〜」

「こっちじゃない?出口」

「わー!なにこれ!すごーい!」

「!?だ、ダメだってば!」

「これ大きい!凄くない!?」

壁一面に並ぶバイブたち。
男性のソレに似た棒は大中小、白黒ピンク、パールのような物まである。
初めて見たであろうソレに目をキラキラと輝かせるこの子に、慌てふためく僕。
傍にあったボトルをこちらに手渡せば、何に使うか聞いてくる。
答えるこっちの身にもなって欲しい。

そろそろ出ようと腕を引っ張れば、目線は上へ。

「ねね、いずく。あれは何?女の子のアニメチックな絵が書いてあるんだけど」

「あ、あれ!?あれは…お、女の子の…穴のや、つ」

さっきまで興味津々だった表情はいきなり真っ赤になった。
僕の腕を掴むと逃げるようにその場から走った。

「ど、どうしたの?」

「女の子の、そんなの、あると思わなくて」

変なところで恥ずかしそうにするこの子にどっと疲れが押し寄せた。

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【爆豪勝己×化粧品コーナー】

「また見てんのか、好きだなほんと」

そう言いながらも私の手に持っているいくつかの化粧品を丁寧にカゴに入れていく彼。

「インスタで上がってたやつ気になってて」

「ほぉん、お前にしては珍しい色だからいいんじゃね?」

でた、才能マン。
こんな所でも発揮してくる。

「この間買った服だったら合うかなって」

そう聞けば必ず答えてくれる。

「いいんじゃね?さっき違うやつもあったろ。それも持ってこいよ」

「ほんとに!?ありがと、気になってたんだよね」

色違いをカゴに入れれば

「勝己ってそーいうのちゃんと答えてくれるよね」

「あ?当たり前だろうが。俺と会うために小綺麗にしてんのに文句言わねぇよ」

口は悪いけど、こうしてちゃんと褒めてくれるのだ。

「化粧褒めてもらえるのって認めてくれてる気がして嬉しいよ、ありがと」

「ん。けどクるのはすっぴんな。だからしっかりやれよ」

そう言って、同じくインスタでバズってたスキンケアをカゴに入れてくれる彼はスパダリそのものだ。

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【轟焦凍×パーティーグッズコーナー】

1度だけ行ったことがあるドンキもあんな状況だったし、まともに楽しめなかったという焦凍の為に再びドンキにきた。
安さと広さに驚き、終始キョロキョロと目を輝かせる彼にこちらも嬉しくなる。
隅から隅まで見るのは焦凍と外国の観光客ぐらいでは?
ちらりと見えたパーティーコーナーに、これは俺も見たことがあると少しだけ自慢げだ。

「あの時コスプレしてたんだもんね?」

「あぁ、切島と緑谷が選んでくれただけだから俺は何もしてねぇけど」

「見たかったなぁ」

近くのアフロのカツラを手渡せばなんの戸惑いもなく被る彼。
いや、元がいいから普通なんだよな。
ドラキュラの被り物を被せて見たけど、もはや焦凍でもなんでもない。
被り物を脱がせば元の棚へと戻した。
真顔の私に気づいた彼は少し申し訳無さそう。

「なんかわりぃ、つまんねぇか?」

「ちが!そうじゃないの!なんかごめん!!」

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【上鳴電気×ブランド品コーナー】

「そろそろ新しい財布欲しいんだよな〜」

「今のやつ結構ボロボロだもんね」

「これかっけぇじゃん!」

「えー、ロゴデカくない?」

「それがいいんじゃんか!」

彼が選んだのは有名ブランドの定番長財布だった。
これぞブランドという感じがいいのは分かるけど、長く使う財布ぐらいシンプルなのが好みな私。

「てかさ、そんなの持ってるからチャラいって言われるんだって」

いつものように言い返すかと思ったのに、真面目な顔でこちらを見た。

「お前は?チャラいと思う、俺の事」

「え、いや、意外とそんなことないって思ってる…」

「ん、ならいーや他の人がなんて思おうが」

急にそんなこと言うから、構えてなかった私の顔は今絶対茹でダコみたいになってるはず。
恥ずかしいのを隠すように違う財布を手渡した!

「こ、これのほうがいいよ!」

「……やだよ、芸人の祇園みてぇじゃん」

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【瀬呂範太×食品コーナー】

久しぶりにみんな揃って宅飲みしようと決まれば、私と瀬呂は食材の買い出しに。

「ドンキってさ、意外と安いよね」

「だな、業スーといい勝負じゃん?」

メインのお肉を眺めながら呟いた。

「あ、久しぶりにお前のサラダ食べたいわ」

「OK、じゃぁサラダは任せて」

「ドレッシング手作りっしょ?保存効く?」

「うん、1週間ぐらいは。作るの簡単だからすぐ出来るよ。レシピ送ろうか?」

「あー、それなら作り来てよ。好きな子が俺ん家のキッチンで飯作ってるの見たいんだけど」

カートに肘をついてこちらを覗き込む瀬呂にドキッとした。
固まる私の両手に持った食材を、取り上げてカゴに置くと

「俺がお前のこと好きって薄々気づいてたっしょ?そろそろ認めたら?」

「…そっちだって、私が同じ気持ちなの気づいてよ」

「んー?知ってたよ、誰だと思ってんの」

初キスがお肉コーナーなんて誰にも言えない。

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【死柄木弔×生活用品コーナー】

シャンプーとコンディショナーがないからと一緒に買いに来れば、ついでと色んなものを見てしまうのがこのお店の戦略だ。

「おい、何買いに来たんだよ」

「シャンプーとコンディショナー」

「じゃぁ早く選んで来いって」

「ちょっとまって、これも見たい」

わざと大きく吐いたため息は、うるさい店内でも聞こえた。

「わかったよ〜、もう」

ふてりながらお目当ての商品の棚を見つけた。

「ねぇ、弔は何がいい?」

「なんでもいい」

「ここメンズだって。好きなの選びなよ」

「だから、なんでもいいって」

「じゃぁこのドラえもんボトルのやつね」

「…帰るぞ」

「ごめんて!だって何聞いてもなんでもいいって言うんだもん。そんなこと言うなら一緒にしちゃうよ?あとで文句言わないでよね」

「はぁ?だから最初からそう言ってるだろ。わかれよ」

そう言いながら隣の棚に行ってしまった彼に、不意打ち食らった私は耳まで真っ赤だった。

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【荼毘×お酒コーナー】

「いたいた、てっきりアダルトゾーンにいるかと思ってた」

「俺をなんだと思ってるんだよ」

「お酒飲みたいの?」

「たまにはな。黒霧あそこに突っ立ってんだったら酒のひとつでも作れた方がいいだろ」

「確かに…じゃぁ可愛いラベルのリキュールにしよ!」

「やだよ、お前以外がそれ飲んでたら気持ちわりぃだろ」

「そうかなぁ、Mr.がカンパリオレンジ飲んでたら可愛くない?黒霧が花火着いたお酒出してきたら可愛くない?」

もう突っ込む気もない荼毘は呆れたように陳列されたアルコールを手に取る。

「じゃぁテキーラは?たまにはみんなでゲームしながら飲みたくない?」

「別に。つーか、んな度数高ぇやつボスが飲んで5本の指で掴んできたらどーすんだよ」

「…やめとこうか」

テキーラのボトルを手に取れば乱暴にカゴに入れた。

「え、辞めるんじゃないの?」

「あぁ、これは俺とお前でゲームするような」

荼毘はニヤリと笑った。