【影山飛雄】×同級生
バレーボール日誌を黙々と書き込む彼の横で、カバンを漁った。
そういえば今日はポッキーの日だって、友達が1箱くれたのを思い出した。
「ねぇ、飛雄も食べる?」
「あー……うん」
目線はノートのまま、よこせと開いた口にポッキーを差し出した。
ポキッ、ポリポリ
咀嚼の音と、ペンを滑らせる音、それと私のスマホをタップする音。
「ん」
短く発した彼の言葉に、読みかけの漫画アプリから目を逸らす。
差し出された手にはてなマークを浮かべれば「もっと」とポッキーの箱を指さした。
「え、もうないよ。これが最後」
咥えたままの最後の1本を指刺せば、彼が近づいた。
ハッとして後退ろうも、後頭部に回った手のおかげでそれ以上は無理そうだ。
やんわりと唇と唇が当たって、咥えてたそれはすべて奪われてしまった。
また日誌へとペンを走らせる彼は耳まで真っ赤だ。
「…ねぇ」
「うっ、せぇ!こっちみんなボゲェ!」
꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳
【月島蛍】×彼女
彼に差し出したポッキーは、いい音を立てて彼の口へと消えていった。
「ああ!そうじゃなくて…!」
もう一本渡せば、同じようにあっという間に消えていくポッキー。
それならと、自分の口先に咥えて彼に差し出した。
ポッキーを咥えた唇の先は尖って、まるでキスをせがんでいるよう。
恥ずかしいから早くして欲しくて、彼の膝に手を添えてみる。
が、「もうお腹いっぱい」そう言ってペットボトルのお茶を飲み干した。
「…いじわる」
小さく呟いて、先程咥えたポッキーをポリポリと食べ進めていく。
「くだらないなぁ。それやる意味あるの?」
そんな言い方しなくてもいいじゃないかと、でも彼にとっては全く魅力を感じないことなのだろう。
何も言えず黙って残りを食べ進めれば、視界が暗くなった。
「?」
顔を上げれば近くなった彼の顔に、唇スレスレにポキッと音を立てたポッキー。
「ほらね。これだけでそんなに真っ赤になってたら最後までなんて出来ないでしょ。ホントへたれだよね」
꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳
【田中龍之介】×幼なじみ
「まぁたそんなの食ってんのかよ。太んぞ」
カバンの中から出てきたポッキーを見てそういえば「私太らないから」なんて鼻で笑った。
「今日11月11日だから、ポッキーの日だよってバイト先の人に貰ったの」
「……は?そいつ男?」
「女」
即答で答えたアイツに、その顔やめなよ、そう言われた。
女か…そうか、なら良し。
なんて心の中で頷いてハッとする。
ポッキー…の日…?ポッキー……ポッキー!?何かを察し、口に咥えて勢いよくアイツを見た。
「やんないよ」
ノールックの彼女が呟く。
「なんだよ!しねぇのかよ!期待させやがって!」
大きな声が部屋に響き渡る。
「アンタは潔子さん一筋じゃなかった?」
「そ、そうだけど!今日のコレはしようって事じゃねぇか!」
呆れたアイツが大きなため息をつくが、相変わらずノールックだ。
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【西谷夕】×同級生
先程お弁当を食べたばかりだと言うのに、カバンから出したお菓子に手をつけた。
「なんだよ、女子はずっと菓子ばっか食ってんな」
そう声をかけたのは西谷だった。
「だって今日ポッキーの日だし。見たら食べたくなっちゃって」
「…あぁ、11月11日か」
なんて紙パックのジュースを飲みながら呟く彼は、きっとバレーのことしか頭にないんだ。
「みんなでシェアしてんの。西谷も食べる?」
手に持った1本を口に咥えたまま、袋ごと彼に差し出した。
「ラッキー!」
そう言って彼が手に取って食いついたのは、わたしが咥えてたポッキーだった。
「っ!?ちょ、!」
あっという間に彼の口の中へと消えていったポッキーに、顔が赤くなっていく。
「なんだよ、そんなにあるんだから1本ぐらいいいだろ?」
無自覚な彼は、遠くで呼ぶ友人の所に行ってしまった。
꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳
【黒尾鉄朗】×彼女
部活終わりのバス停のベンチ。
あっという間に外は真っ暗で、さすがに明日からはブレザーも必要だと指先までセーターの裾を伸ばした。
「お腹減ったぁ」
私の言葉に時計をちらりと見た彼。
「おでん食べたい」
って言えば「今からバス乗るのにそんなの食えません」って笑って、カバンの中からお菓子の箱を手渡された。
「ポッキーとか珍しいね」
そう言いながら、今日の日付を思い出した。
「さて、どうしましょうか?」
ニヤリと笑った彼が、一本手に取るとポッキーで私の唇をトントンと突っついた。
うっすら開いた唇にポッキーが添えられるのを、じっと見つめ合いながら感じる。
彼の目線が唇に落ちた瞬間、咥えた先からポキポキと食べていけば慌てた彼がほっぺを掴んでそれを阻止した。
「こら、ストップ」
むにっと頬を掴まれて、尖った唇をポッキーごとかぶりついた。
꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳
【孤爪研磨】×幼なじみ
「ん、」
ポッキーを口先に咥えたまま彼に突き出した。
ゲームに夢中だった彼が2度見、いや3度見した後心底嫌な顔をした。
それが見たかったんだと、腹を抱えて笑った。
潔癖な彼のことだから、ひとつの食べ物をシェアするなんてありえないだろう。
「うそ、冗談。食べる?」
新しいのを差し出せば、少し悩んだあと首を横に振られた。
さっきのがそんなに嫌だったのかと、思ったよりもショックを受けてしまった。
1人寂しく音を立てながら食べていれば、彼の手が伸びてきた。
食べかけのポッキーを私の腕ごと1口パクリ。
「…っ、え」
自分でもびっくりするほどの間抜けな声に
「これじゃなくて、俺はトッポ派だから」
恥ずかしそうに彼が言うもんだから、勢いよく立ち上がって財布を手に取った。
「か、買ってくる…!」
声が裏返った私を見て、彼が可笑しそうに笑った。