「えと……赤井さん……?」

「名前はどれが好きだ?」

「……」


中庭のベンチに並ぶは、高級感漂うチョコレートの雑誌。

私=チョコレートって覚えられてますね……?

赤井さんが持つ表紙をチラリと見れば、やはり高級店のチョコレートの特集雑誌だった。
中庭のあまり人通りが少ないベンチにいるため、その場には赤井さんと私しかいない。

ただ今私の心は申し訳なさに押しつぶされ中だ。
貴族や貧乏人などという名前に囚われている訳では無い。
しかし高い物を何の躊躇いもなく渡されれば、有難い気持ちよりも申し訳なさの方が圧倒的で。


「あの……お気持ちは嬉しいのですが……」

「チョコレートは嫌いか?」

「いえ……あの、こんなに高い物を貰って申し訳ないと言いますか……」

「ホー……そういう事か」


折角沢山の本を用意してくれたのに申し訳ない。
顎に手を添え考え込む赤井さんを前に、私は体を縮こませ頭を下げるしかなかった。


「お前は何が欲しい?」

「……え?」


チョコレートから何故私の欲しい物になるのか。
赤井さんの思考回路は読めないなぁと頭の端でぼんやりと考える。と、赤井さんの顔が自分の顔とほんの数センチ距離まで近づいていた。

ち、近い……!

身じろぐと、自分よりも大きくゴツゴツした手で腰を掴まれる。
男の人に、しかも赤井さんに腰を抱かれたと思うと、緊張やら恥ずかしいやらで頭が沸騰しそうだった。


「あか、赤井さっ……」

「俺はお前を幸せにしたい」


…………へ?


これは告白なのか。そうでなかったら何なのか。


「あか、赤井さ、それは」

「プロポーズだが?」

「っ……!」


カッと頬が熱くなる。まさかチョコレートから告白になるとは。
耳や首元まで真っ赤になり、口と手が所在なさげに握ったり開いたり、閉じたり開いたりした。



「返事は早急にな……?」




チョコレートよりも甘く響くあなたの声。


(早急にって……今すぐって事ですか……!?)

(俺はあまり気は長くない方だぞ)

(わぁああぁああタンマですタンマ!!)
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餌付け(赤井秀一の場合)