「うわぁ……」

「ホー……」

「これはまた……豪勢ですね……」


私達が"いつも"使う大広間。
"いつも"ならば蝋燭や大空が天井に広がり尊い美しさを醸し出している。

しかし"今日"は、"今日"だけは違っていた。

広間中真っピンクな花で飾られ、天井からはハート型の花吹雪が舞っていて。

私の両脇いる赤井さんと安室さんは二人揃ってげんなりしていた。

私はと言うとこんな珍しいものはないから、たっぷり見ていようとキョロキョロと見回してみた。


「名前…どうしました?」

「これはバレンタインというものなのですか?」

「「え」」


珍しくて思わず興奮し顔を紅潮させてしまい、恥ずかしいなと自覚しつつも赤井さんと安室さんの真ん中でぴょんぴょんと軽く跳ねる。

しかしそれを見た二人は、まさか貧乏過ぎるとバレンタインすら知らないのかと半分呆れ、半分嬉しさがあった事は、私が知るはずもない。

何だか……!よく分からないですけどすごくキラキラで豪華です……!!


「私バレンタインという名前自体は知っていたのですが、こうやって実際にやるのは初めてです!バレンタインってこんなに豪勢なのですか?」

「いや……ギルデロイ独自のやつだと思うが……」


一人興奮していたら、微笑まれながら二人に参加しようなどと思わないようにと制された。違いますよ見たかっただけです……。


しかし名前の心中とは裏腹に、赤井と安室はいつ名前に男共の毒牙が来るか警戒していた。
すると……。


「……あれ何かキューピットさんがこっちに……?」


私の前に、ハープとカードを持った小人が何匹か来た。
小人達がカードを開き、私に音楽を奏でようとした途端、赤井さんと安室さんは素早く杖を取り出し、


……!?二人共小人さんに何を……!?


「「シレンシオ(黙れ)」」


二人は冷たく杖を小人に向け呪文を唱えた。
すると小人達はパクパクと口を開けたり閉じたりして、言葉が発せなくなってしまった。
その様子を満足そうに二人が見ていると、小人達は私はにカードを渡して帰っていった。


「……これは?」

「誰宛です?」

「えー……ちょっと誰か分からないです……」


初めての事に少し不安がある。
けどバレンタインは良いものだ。悪いものじゃないはず。

何でしょうか……手紙……?


「何て書いてある?」

「Be my Valentine……」

「「……!」」


Be my Valentine……私の恋人になってくれますか?

十一歳から英国に渡っているから、さすがの私でもその意味はよく分かった。
顔が急速に熱くなり、心臓がトクトクと早足になる。

むむむむむむむ無理です!!
私には荷が重いです!!!


「そ、そんな、駄目ですカードは受け取れません……!」

「それなら僕が」

「安室さっ……!」

「インセンディオ」


安室さんは私からカードを取り上げると、素早く炎上させた。
彼の手の中でカードが燃えカスになっていく。


「これで完了です」

「あ、ありがとうございます……?」

「名前は恋人を作る気はないのか?」


ひょこりと赤井さんが私の頭上からのぞき込む。
ちくしょう二人共モテるからって……!


「今の所は大丈夫です……というか私に恋人さんなんてもったいなさすぎます……。それに貧乏ですし……迷惑しかかけないです……」


それに特別何に秀でている訳でもないし……と続ける名前を、二人は目を見開きながら見ていた。

それに気づき、私はふと顔を上げる。

何をそんなに見つめるのでしょうか……良いですよねお二人は……イケメンさんですし頭も良いですし優しいですもん……お相手の子なんてたくさんでしょうね……。

恨めしそうに二人をジト目で見つめると、突然二人に頭を撫でられた。


「名前はそのままで良いですよ」

「これ以上魅力的になられても困る」


魅力的……?そのままでも良い?
不安要素しか残らないのですが?

撫でられた頭を触り、疑問しか残らなかったが私は先を行く二人を追いかけた。





名前の頭を撫でた後、俺達は先を歩いた。


「魅力的なんて……口説き文句ですか?」

「朝名前宛にチョコレートを用意していた君に言われたくないな」

「それはあなたもおあいこでしょう!!」

「君もそのつもりかね……」

「誰が相手だろうと僕は引く気はありませんから」

「ホー……」






次の日、日本風に義理チョコだと言われ安室さんと赤井さんにチョコレートを貰いました。



おいしいです……。
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バレンタイン