そろそろ冬になってきたなあと思うこの時期。暑くて、熱かった最後のインターハイも終わって、秋からの冬。そろそろ卒業が近づき、クラスは必然と進学組と就職組に分かれてきていた。
 わたしは先日福富くんにこの三年分の想いを、うっかり口を滑らせて告げてしまい。なんやかんやでお付き合いをすることになりました。

 そして今日は、勉強という名を借りたデートであり、福富くんと一緒に地元の大きな図書館に行くことになった。…実を言うと嬉しくて、そして楽しみにしていて、小さい子供のように興奮で寝付けなかったほど。
 校門の少し過ぎたところで待ち合わせ。校門だとわたしが気恥ずかしかったからという理由もあった。
 少し人通りの寂しい道。待ち合わせ場所には既に福富くんが居た。身長も高く生い茂っている木に体を預けて腕を組んでいた。
「遅くなってごめんね、」
「…いやまだ五分前だ」
 わたしの姿を見つけると、福富くんは体を起こす。私服の福富くんは見たことがなかった、けれど。全体的にシンプルに決めていてわたしにはとてもキラキラと輝いて見えた。やっぱりカッコイイ。
「さあ行こう」
 腕時計をちらりと一瞥した福富くんは、わたしに一言声をかけた。わたしはどもりながら頷き歩きだした。しばらくすると足のコンパスの差に必然的にわたしが福富くんの後ろ姿を追う形になっていた。
 無骨な手、厚い男の人の身体。福富くんの後ろを追いかけながら、わたしはふと手、繋ぎたいな。なんて思ってしまった。なんてわたしは破廉恥なんだろう!両手を頬に添えて、熱の上がった頬を冷やす。ふ、触れたいだなんて!でも恋人ってどういうのだろう。こういう時に手はつなぐのかな、よくわからない葛藤に苛まれていると、福富くんが足を止めて振り返り、わたしを見た。
「…顔が赤い、どうかしたのか? 風邪か?」
 福富くんはずいっと腰を折って私の顔に近づく。

「えっ?!」
「…む?」

 なんの躊躇もなく、まるでキスするみたいに福富くんの顔が近づいてきて!わたしの心臓がどくどくと早鐘を打った。
「あ、いや…すまない」
 わたしは顔から火が出ているみたいに熱い。実際に赤いのだろう、福富くんはわたしから目をそらして離れていく。
 けれどわたしは、離れていこうとした福富くんのシャツにスッと手を伸ばして引っ張った。顔は、見れない。コンクリートの地面に転がる小石を眺めながら、俯き加減でわたしは口にした。

「あ、あのっ…手繋いでもいいかな……つ、繋ぎたいなって…」
 声は上擦っていて、震えていたのが自分でもわかった。処刑を待つ囚人のように福富くんの返答を聞く、この間が怖かった。
「…気が付かなくて悪かった」
 思っていたよりも福富くんは柔和な声色で。
わたしのシャツを掴んでいた手が、福富くんの大きな手のひらに包まれる。ゆっくりと剥がされて、福富くんの手に絡められた。
 驚いたわたしは福富くんの顔を見上げる。細やかだけれど、いつもより柔らかな表情になっていて、きゅんと胸が締め付けられた感じがした。

14.11.17