私はベルナルドにまたがって、この間買ってきたローションの小瓶を取り出す。
「その瓶なんだい?」とベルナルドが聞くもんだから、なんとなく私は「媚薬よ」というとベルナルドの笑顔が引きつったものに変わった。

「たまには趣向を変えてみて、媚薬を飲ませたベルナルドがどうなるのか実験するの。
喉が枯れるまでアンアン啼いてくれると嬉しいわ」

ベルナルドがきっちりと着ているスーツのタイを剥ぎ取って、シャツのボタンをぷちぷちと外す。
私がそこまでいうと、ベルナルドの顔色は青くなったような気がする。ので、蓋を開けて自分の手のひらにそのローションを垂らした。

「なんてね、ウソ。ただのローションよ。小瓶に入ってるなんて可愛いでしょう?」

私はにぃと口端を上げて、マッサージをするみたいに、まずベルナルドのきゅと引き締まったお腹から、するすると手を滑らせた。
ローションが冷たかったこともあって、びくんと反応する身体に私は顔がゆるんでしまう。

「…可愛い」

思わずほろりと零れてしまう吐息。それに反抗するベルナルドの言葉を無視して、徐々に上へ滑らせる。
露になっている胸の頂は、小さいがぷくりと主張していた。

「何もしてないのに、どうしたの?」

クスクスと笑うと、ベルナルドは耳を真っ赤にして私から顔を反らす。円を書くようにぬるぬるとしたローションを使い頂に滑らせる。やさしく捏ねながら私はベルナルドの顔を盗み見ると、なんだか耐えている様子が可愛らしかった。
思わずベルナルドの口唇を啄みつつ、半開きになった口内に舌を送り込み貪る。互いの舌を丹念に絡ませながらベルナルドを一瞥すると視線が交わり、薄く開いているグリーンアイズに吸い込まれそうな感覚になりながら私はゆっくりと名残惜しく口唇を離した。

「…ふ、」
「積極的だね、ハニー」

私はうまく息の仕方を忘れてしまうよう。私と正反対で、全然息の乱れの無いベルナルドを恨めしく見下ろす。さっきまで少し赤くなった耳はもとの薄い肌色に戻っていた。

「ベルナルド、なんでそんなに余裕なの」
「何で、って。男としてのプライドかな」
「ムカつく」
「はっ、え?」

左手を後ろに回してベルナルドの下半身辺りをまさぐり、ズボンの上からスッと撫でた。
ビクン、と身体とベルナルドの自身が跳ねた。思ったより立ち上がっていたソレに焦らすように触れ、自覚できるほど意地の悪い笑みを浮かべる。ひそめられた眉と熱を含んだ吐息に私も興奮するのがわかった。

「ハニー……ッ」
「なぁにダーリン?」

ベルナルドの言いたいことはわかるけど、それだけじゃ面白くない。いつもいつも好き放題ヤラれてるんだからこれくらいは目を瞑ってもらおう。

「ちゃんと言ってくれなきゃわからないわ」
「…脱がせて。直に触ってくれ」

ベルナルドは一回目を瞑ってゆっくりと息を吐いた後。おずおずと、なんだか普段のベルナルドからは想像つかない、私が情事の際に指で数回くらいしか聞いたことのないような苦しそうな声で呟いた。
「分かった」と答え、またがっていたベルナルドの上から退いた。そして私はカチャカチャとベルナルドのベルトを外し、ズボンに手を掛ける。下着も一緒にずり落とすと現れるソレ。既に天に向かって角度を保っていて私は笑みが零れた。
再度ベルナルドに跨がって、ソレに手を這わす。ぬちゃっと、ベルナルドのカウパーが音を立てた。竿を何度か撫でると硬度は徐々に増す。
「ん、」と息の抜けるような声が聞こえ、私は先端に口唇を落とした。アイスクリームを舐めるみたいに裏筋に滑らせる。するとまたがっているからか、ベルナルドが震えたのを感じた。

「ひぅ…!」

優越感を感じていて油断してしまったのかもしれない。急にベルナルドに腰周りを掴まれ、引っ張られると私はバランスを崩した。先程ベルナルドに塗っていたローションもあって、それは不様に倒れてしまった。
最悪だ、とベルナルドの太もも辺りに倒れこみながら思った。私の顔がベルナルドのモノに当たらずに済んだのは不幸中の幸いだろうか。
そう考えている内に、ベルナルドの片方の手はがっしりと私の腰を掴み、もう一方の手は内股をゆるゆると這いずった為私は息を詰める。

「あッ、ちょっと…!」

タイトスカートを捲られるのが分かり、そして一気にタイツを下ろされる。素肌が外気に直接当たりぶるりと震えた。
私は動く事が出来ないまま、茂みの奥をゆっくりと撫でられる。

「ハニーだって、濡れてるじゃないか」
「変、た…ッ」

ぬちゃぬちゃと水音が私の聴覚を犯す。ベルナルドの指は突っ込んで来るわけでもなく、ただ撫でるだけでその感覚はとてももどかしい。
その指が呆気なく離れると、私は名残惜しそうな声を出してしまった。そのことに赤面していると、よいしょ、とベルナルドは呟いて私の上半身を起こさせる。急に腕をクイっと引っ張られてベルナルドの胸板あたりに再度倒れた。
かち合う、ベルナルドの黒渕に隠れるグリーンの瞳がギラギラと肉食獣のように光った気がした。

「変態?最初にやったのはハニーだろう」

それはいつも散々好き放題してくれる仕返しで、と言おうとした唇はベルナルドのそれに塞がれた。ねっとりと絡み付くような舌に翻弄され、飲み下しきれなかった唾液がシーツに染み込む。

「これは俺からもたっぷりとサービスさせてもらわないとね」

ゾクッとするほど色気のある声で囁かれ少なからず期待してしまうのは悲しき女の性か。手を引かれ、身体を起こされた私とは反対に今度はベルナルドがベッドに横になる。頭にクエスチョンマークを浮かべた私に「お互いがロリポップだよ」と言ったベルナルドは何処か楽しそうで、酷くいやらしかった。

「おいで、お嬢さん」

ベルナルドの言いたいことがわかった私は恐る恐る上にまたがる。好きな人の顔に自分の性器を晒すだなんて恥ずかしくて死にそうだけど、私の目の前にもベルナルドのそそり立つモノがある。先ほどローションを垂らした自身を緩くしごくと硬度を増した。

「――あッ……」

ヒダを広げられ、いやらしく動く舌が私に触れた。愛液の溢れるそこをわざと音を立てて吸い、回りを焦らすように舐められて身体がのけぞる。負けじとベルナルドのそれを口に含み、舌で刺激しながらしごく。

「中々やるね……っハニー」
「ん……ッあ、や……」
「嫌ならやめるよ?」
「ばか……ッあ、あ!」

舌が敏感な突起に触れた瞬間、身体に電流が走ったように背中が反る。直接的な刺激を苦そうと腰を揺らしてもベルナルドがそれを許さない。舌でつつかれたり、舐めあげられたりして既に息は絶え絶えだ。この男、絶対狙ってやってる。

「物言いたそうな顔だね。そうだ、君にも塗ってあげるよ」

何を、だなんて訊かなくてもわかった。ローションだ。

「やめ――!」
「遠慮しなくていいよ、ほら」
「ひ……ッ」

ローションの円滑も加わり、ぬるりとした感触と共にベルナルドの指がすんなりと侵入してくる。そのまま指を動かされ、高い声をあげてしまう。

「手が止まってるぞ、ハニー?」
「、るさッ…あぁッ」

ベルナルドの指が私のイイところを掠める。一際高い声を出した私に、ここからはベルナルドの顔は見られないけども絶対に口端を上げているはずだ。
執拗にソコばかりを攻めて、息も絶え絶えな私を苦しめる。もう少しの刺激があれば、…イけそうでイけない感覚に気が狂いそうだった。
―もっと激しく突いてほしい。
そんなことを考える自分が恥ずかしいけれど、本能には抗えず理性の糸は徐々に切れていった。
呂律が回らない声でベルナルドの名前を呼ぶ。

「うん、何だい?」
「っ、…ねぇッ、………もっと」
「もっと?」

ベルナルドの問い掛けに蠢いていた指先が止まる。意地悪な質問だ、私は下唇を噛んで口籠もる。まだほんの少しの理性がその言葉を阻んでいたからだ。

「んあぁッ」
「まぁ、…今日はいいかな。次はちゃんと言ってもらうよ」

急にずぷりとベルナルドの長い指が入ってくる。先ほどの一本でねちっこいやり方じゃなく、多分三本。がつがつと攻められ、待ちわびていた痺れるような甘い感覚にとろけそうになる。
頭の奥でチカチカと白く明滅する光に、私は喉を仰け反らせながら声のならない悲鳴を上げて吸い込まれていった。
何かが肌に這っている。湿った感触が私を深い海の底からひっぱりあげた。

「…起きた?」

ベルナルドが私に覆いかぶさる体勢で私を覗き込み、さらさらと私の髪に触れながら目の前で微笑んでいた。
私は暫くの間、状況が把握出来ずにいた。けれども徐々に記憶が鮮明に蘇ってきて顔が火照る。少し、私が身動ぎをするとビリッと頭に響く刺激に呻いた。

下腹部に何かの違和感を感じる。思えば足を開いている自分にその違和感の正体が閃いて、恐る恐る下腹部に視線を移すと、ソコにはベルナルドが埋まっていた。生々しい結合部を直視してしまって私は赤くなりながらすぐに顔を背けた。

「ハハッ、驚いたかい?」

笑いながら小刻みに揺する。私は熱い吐息を吐き出しながら、ベルナルドを睨み付けた。

「不意討ちなんて、卑怯ッ」
「フハハ、ハニーがそんなことを言える立場かね?…潤んだ瞳で俺を誘惑するなんてイケナイ子だな、本当に」

ベルナルドの言葉に身体は素直で、きゅっと自分のナカが締まるのが分かる。
ベルナルドは突然「じゃあ最初から仕切り直すかい?」と私のナカからゆっくり抜いた。先端部が一瞬突っ掛かり私は声を上げてしまう。抜く、というだけなのに私は甘く痺れていて、なんだか物足りなく感じベルナルドを見上げた。

「物欲しそうな顔して…」

少し恥ずかしいけれどジッとベルナルドの目を見る。引き出された快楽に自分が興奮しているのは事実だ。ごくりとベルナルドが喉を鳴らす音が聞こえた。そして、ベルナルド自身が私の股の間でゆるゆると動かした。擦れる感覚が何とも言えない。

「焦らすのッ、好き、っ?」

私の一言にフッと笑う。ベルナルドの答えはYESだ。
ムズムズと歯痒い感覚が私を苦しめる。何分も経っている気がする。終わりが見えなかった。私が何も言わなければずっとこのままではないのかと思って、羞恥心に耐えつつ私は言葉を紡いだ。

「ベルッちょうだい、よぉッ」
「…さっきよりは合格、かな。オーケー分かったよ」

ぐっと押し入るように入ってくる。待ちわびた質量に嬌声が零れた。

「あぁ、深…ッ」
「ハニーッ、…一緒、にイこうか」

ベルナルドも早く突きたい衝動に耐えていたのだろう。イキナリ奥に挿入された。ベルナルドの右手が私の左手と重ね絡められる。鼻息も荒く、私たちは興奮して深く深く舌を貪った。
年齢を感じさせないほど、というかどこにそんな体力があったんだ、と言いたいほどにベルナルドはスピードを上げてがつがつと攻める。再度私を高みに追い詰めていく。

「あッ、…はッ…アァ!」
「…ン…ッ」

もうダメ!と言おうとしても呂律が回らない。私は絡ませた手にぎゅっと力を込める。
ベルナルドは目を細めて薄く笑う。擦れた声が余計に私を煽った。

「やっぱりダメ、だなッ。何度抱いても気が済まないよ、マイスウィート。」
「ベル……イッ、あァッ!」
「…く、ぅッ」

細い悲鳴を上げながら、私は痙攣し大きく仰け反る。ベルナルドのがびくびくと、私のナカに吐き出すのを白いだ頭の隅でぼんやりと理解していた。

一息ついた頃、ベルナルドがやっと自身を抜く。私のナカからどろりと白濁が垂れてきた。動くのも億劫で、私はベルナルドに抱きついて目を閉じる。

「今度また、寝込みを襲ったら許さないから…」
「ハニーが先に手を出してきただろう?」
「それとこれとは別…」

大きな声を出す気力もなくて、間延びした緩い言葉になる。疲れもピーク達しているからかうつらうつらしてきた。

「疲れただろう?俺はまだ若いしな、」
「もう三十路いってるオジサンが何を言ってるの?」
「…ハニー、もう一ラウンドイくかい?」
「エンリョシマス。」

いつもどおりの掛け合いにクスリと笑みが零れた。でも睡魔に勝てなくて、ベルナルドの温もりに安心しながら瞳を閉じた。

「Buona notte. La mio amato...」

遠退く意識の中、そんなベルナルドのやさしい声が聞こえた気がした。

2010.04.14