彼は興奮するといつもそう。
―私を殺すの。

少し血に塗れて、バクシーは私のもとに帰ってきた。早足で私のところへ近付き、ベッドに座っていた私が彼の名を呼ぼうとしたが、遮るように口唇が重なりベッドに縺れ倒れこんでしまう。
いきなりバクシーの長い舌が私の口内を蠢き始め、私は溶けたように濡れた瞳でバクシーを見た。ギラギラと灰色の瞳に射ぬかれて背筋がぞくぞくと震えるのを感じ、バクシーの美しい銀髪を掴むように自身に押しつけてキスをねだる。苦しい、けどこのまま窒息死してもいいと思えてしまう。頭が微睡みの海に溺れかけたときに、口唇を解放されて名残惜しさが残った。

「今日、は、どうしたの、バクシー。」

息も絶え絶えに言葉を発した。バクシーはゆらりと私の眼を見て、口端をあげる。分かってるだろーが、といつものように一言。私は笑った、多分それが合図。
テーブルの上に置いてあった粉の袋を手に取り一掴んで口に運び、再度互いに貪るように舌を絡めた。ハンマーで頭を殴られたような衝撃、徐々に雲の上にいるかのようにふわふわ気分が良くなってくる。
バクシーは私のワンピースを捲り、自身の下半身を露にして反り勃ったモノを早急に私の穴に突っ込んだ。痛いはずなのに、痛覚もどこかに置き忘れてしまったかのように、頭の端っこに燻った小さな感覚しかなかった。
余興とかそんなの無くて、ガツガツと揺さ振られるとあ、あ、と機械のように同じ言葉しか出てこない。

「は、ツォッコラがよォォ!」

バクシーの酷いパロラッチャも快感で、きゅっと下半身に力が入る。
私は腕を背中に回して爪を立てる。それに対抗してかバクシーは私の肩を噛んだ。頭の中がぼんやりとして、だんだんと痛覚が戻ってきた。バクシーの犬歯が私の肌に傷を付けたのか、その傷を抉るように舌で傷つけてくる。痛みに歪んだ私をみてバクシーは顔を緩めたのだ。

「あ、あッ、も…だめ!」
「イけよ、俺の子猫ちゅわ、んッ。」

素早いピストンに何も考えられない。ヤクとセックスの二重のエクスタシーに、口をだらしなく開けてびくびく痙攣しながらイった。滑稽な姿だろうと思いながら体内にどくどくと入ってくるバクシーの精子を感じていた。
暫らくしてずるりとバクシーが栓を抜くと、太ももから白濁がゆっくりと零れるのが分かる。

「ねぇ、子供が出来たらどうする?」
「ハァ?面倒だろガキなんてよォ。どうせなら俺が殺してやるっての。」

くすんだ天井を見上げながら私はそうね、と笑った。
狂ってる貴方から逃げない私も、相当狂ってるわ。

20100328